探究のテーマが決まらないときに家庭でできること|会話・ニュース・外出をきっかけに
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探究のテーマが決まらないときは、保護者様がテーマを決めてあげるのではなく、生徒さんの「気になること」を引き出す会話から始めましょう。ニュースや外出先で見つけた小さな疑問を、メモに残すよう声をかけるのが効果的です。テーマは途中で変えてもよいと伝えると、生徒さんは動き出しやすくなります。オンライン学習塾マスネットでは、生徒さんの身近な疑問から問いを一緒に立て、探究のテーマにしていく練習をしています。
「探究のテーマが決まらないと言っていて、見ていて心配です」
高校1年生・高校2年生の保護者様から、よく聞く言葉です。
高校では、総合的な探究の時間で、生徒さん自身が問いを立てて調べる学習が行われています。総合型選抜では、探究の取り組みが、志望理由書や面接で話す材料になることも多くあります。そのため、テーマが決まらない様子を見ると、保護者様も焦ってしまうかもしれません。
けれども、テーマが決まらないのは、多くの生徒さんに起こることです。「何でもいいから決めなさい」と急かすより、家庭の中で、生徒さんが自分の関心に気づくきっかけを作るほうが、結果として良いテーマにつながります。
テーマが決まらない理由
テーマが決まらない理由は、生徒さんによって違います。理由に合わせて、家庭での手助けの仕方を変えましょう。
| よくある理由 | 家庭でできる手助け |
|---|---|
| 何に関心があるのか、自分でも分からない | 日ごろの会話の中で「最近気になったこと」を聞いてみる |
| 立派なテーマにしなければと思っている | 身近な疑問からでよいと伝える |
| テーマが大きすぎて、調べ方が分からない | 「家の近くでは?」「高校生だったら?」と、範囲をしぼる問いかけをする |
| 候補が多すぎて、1つに決められない | 候補を書き出し、いちばん長く話せるものはどれかを一緒に考える |
家庭でできること1. 会話で「気になること」を引き出す
テーマの種は、生徒さんの日ごろの会話の中にあります。夕食のときや車での移動中など、落ち着いて話せる時間に、次のような問いかけをしてみてください。
| 問いかけの例 | 引き出せること |
|---|---|
| 最近、学校で「なんでだろう」と思ったことはある? | 学校生活の中の疑問 |
| 部活動で、もっとこうなればいいのにと思うことは? | 身近な課題 |
| 将来、どんな仕事に関わってみたい? | 進路とつながる関心 |
| 最近見た動画やニュースで、印象に残ったものは? | 社会への関心 |
大切なのは、答えを評価しないことです。「それはテーマにならない」と言ってしまうと、生徒さんは話さなくなってしまいます。「それ、面白いね。どうしてそう思ったの?」と、もう一歩聞いてみるだけで十分です。
家庭でできること2. ニュースを一緒に見る
テレビや新聞のニュースを一緒に見て、気になったことを話すのも、テーマ探しのきっかけになります。ニュースを見ながら、「このことは、私たちの住む町ではどうなっているんだろう」と身近なことに置きかえてみると、高校生でも調べられる問いになります。
| ニュースの話題 | 身近な問いに置きかえた例 |
|---|---|
| 人口が減っている地域が増えている | 自分の住む町では、10年で人口がどう変わったか |
| 食品の値段が上がっている | 家の近くのスーパーで、どの食品の値段が変わったか |
| 外国から来た人が増えている | 地域の案内表示は、何語で書かれているか |
| 大雨の被害が増えている | 自分の住む地域のハザードマップでは、どこに注意が必要か |
数字を調べたいときは、総務省統計局などが公表しているデータを、政府統計の総合窓口(e-Stat)で探せます。市区町村のホームページにも、人口や地域の課題についての資料が載っていることがあります。
家庭でできること3. 外出先での疑問を大切にする
買い物や旅行、地域のお祭りなど、家族で出かけた先にも、探究の種はあります。「どうしてこの商店街は、平日は人が少ないんだろう」「この駅には、なぜエレベーターが1つしかないんだろう」といった小さな疑問が、地域の課題を考える探究につながることもあります。
外出先で生徒さんが何かに興味を示したら、写真を撮ったり、スマートフォンのメモに一言残したりするよう声をかけてみてください。後から見返すと、自分が何に関心をもっているのかに気づくきっかけになります。メモの残し方は、探究の記録はどう残す?で説明しています。
家庭でできること4. 身近な大人の仕事の話をする
保護者様ご自身の仕事や、親戚・知り合いの仕事の話も、テーマのきっかけになります。仕事の中で困っていることや、工夫していることを話すと、生徒さんが社会の課題に気づくことがあります。将来の進路を考えるうえでも、身近な大人の働き方を知ることは役に立ちます。
テーマを決めるまでの流れの例
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1週目 | 気になったことを、毎日1つメモに残す |
| 2週目 | メモを読み返し、気になることを3つにしぼる |
| 3週目 | 3つのそれぞれについて、10分ずつ調べてみる |
| 4週目 | いちばん続けて調べたいものを、仮のテーマにする |
4週間で仮のテーマを決め、調べながら問いを少しずつしぼっていきます。テーマが決まったあとの進め方は、探究を週1時間で進める方法で説明しています。
テーマは途中で変えてもよい
探究のテーマは、調べ始めてから変わることがよくあります。調べるうちに、もっと知りたいことが見つかったり、最初の問いが大きすぎたと気づいたりするのは、探究が進んでいる証拠です。
総合型選抜の書類や面接では、テーマが変わったことそのものより、「なぜテーマを変えたのか」「変えたことで何が分かったのか」を説明できることが大切です。テーマを変えたときの理由も、メモに残しておくよう伝えてみてください。
保護者様が避けたいこと
| 避けたいこと | 理由 |
|---|---|
| テーマを代わりに決める | 生徒さんが自分の関心として話せなくなる |
| 「受験に有利なテーマ」を勧める | 本人の関心と合わないと、続かない |
| テーマの良し悪しをすぐに評価する | 生徒さんが関心を話さなくなる |
| 立派な成果を求める | 高校生の探究では、調べ方と考えたことが大切 |
保護者様の経験から、テーマの候補を挙げてみるのはかまいません。ただし、最後に決めるのは生徒さん本人です。「こういうのもあるね」と、選択肢の1つとして伝えるくらいがちょうどよいでしょう。
テーマが決まったあとに家庭でできること
仮のテーマが決まったら、保護者様の関わり方も少し変わります。調べる内容そのものは生徒さん本人に任せ、家庭では、続けるための環境を整える手助けをしましょう。
| 手助けの例 | 具体的に |
|---|---|
| 話を聞く時間を作る | 週に1回、調べて分かったことを5分ほど話してもらう |
| 調べる場所を一緒に探す | 図書館や博物館、地域の資料館の場所や開館日を確かめる |
| 人に話を聞く機会をつなぐ | 知り合いに詳しい人がいれば、話を聞けるか相談してみる |
| 予定に組み込む | 定期テストの前は休み、テストのあとに再開するなど、学校の予定と合わせる |
生徒さんが話してくれたときは、「それで、次は何を調べるの?」と、次の一歩を一緒に考えるだけで十分です。
つまずきやすい点
いちばん多いのは、テーマ探しに時間をかけすぎて、調べる時間がなくなってしまうことです。仮のテーマを決めて調べ始め、途中で必要に応じて変えるほうが、探究は進みます。
次に多いのが、テーマが大きすぎて、何から調べればよいか分からなくなることです。「地球温暖化」のような大きなテーマは、「自分の住む町の夏の気温は、30年でどう変わったか」のように、場所や期間をしぼると、高校生でも調べられる問いになります。
学年ごとの考え方
高校1年生は、テーマを1つに決める前に、気になることをたくさんメモに残しておく時期です。高校2年生は、仮のテーマで調べ始め、問いを少しずつしぼっていきましょう。高校3年生で総合型選抜を受ける場合は、これまでの探究で考えたことを、志望理由書や面接で話せるように整理します。活動の実績がないと感じている場合は、活動実績がなくても総合型選抜は受けられる?もあわせてご覧ください。
マスネットではこう進めます
オンライン学習塾マスネットの総合型選抜・学習伴走コースでは、月4回の授業を、教科・探究・英語資格・書類に毎月配分し直します。探究では、生徒さんの身近な疑問から問いを一緒に立て、調べ方や記録の残し方を練習します。毎授業後と毎月末に、保護者様へ進み具合を報告します。くわしくは指導の流れをご覧ください。
よくある質問
Q. 探究のテーマは、志望する学部と関係があったほうがいいですか?
A. 関係があると、志望理由書で話をつなげやすくなります。ただし、最初から学部に合わせる必要はありません。関心から始めた探究が、学部選びのきっかけになることもあります。
Q. 子どものころから好きなことをテーマにしてもいいですか?
A. 好きなことは、長く続けやすいテーマになります。好きなことの中から「なぜだろう」と思う疑問を見つけ、問いの形にしてみましょう。
Q. 学校の探究のテーマと、総合型選抜で話すテーマは同じでないといけませんか?
A. 同じである必要はありません。学校の探究に加えて、自分で続けている調べものや活動を話すこともできます。
Q. 家族で出かける時間がなかなか取れません。
A. 夕食のときの会話や、一緒にニュースを見る時間だけでも十分です。短い時間でも、気になったことを話す習慣をつけてみてください。
Q. テーマが決まらないまま、高校2年生の冬になってしまいました。
A. 今から始めても間に合います。気になることを3つ書き出し、いちばん続けて調べたいものを仮のテーマにして、まず調べ始めましょう。
まとめ
探究のテーマが決まらないときは、保護者様がテーマを決めてあげるのではなく、会話やニュース、外出先での疑問から、生徒さんの「気になること」を引き出しましょう。気になったことはメモに残してもらい、4週間ほどで仮のテーマを決めて調べ始めます。テーマは途中で変えてもよいと伝え、変えた理由も記録しておくと、総合型選抜の書類や面接で話す材料になります。
出典・参考にした資料
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説」(総合的な探究の時間編)
- 政府統計の総合窓口「e-Stat」