家での探究は週1時間で進める|1時間の使い方と4週間で1周する進め方
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家での探究は、毎週同じ曜日に1時間と決めて続けるのがおすすめです。1時間を、前回のふり返り・調べる・記録する・次の予定を決める、の4つに分け、4週間で、問いを決める・調べる・確かめる・まとめる、を1周させましょう。長い時間を一度にとるより、短い時間を続けるほうが、探究は深まりやすくなります。オンライン学習塾マスネットでは、生徒さんと一緒に週1時間の予定を決め、授業のたびに記録を確かめています。
「探究をやりたいけれど、まとまった時間がとれません」
部活や定期テストで忙しい生徒さんから、よく聞く言葉です。
探究というと、何日もかけて調べものをしたり、遠くへ出かけたりするイメージがあるかもしれません。けれども、高校生の毎日は、授業、部活、課題、定期テストでいっぱいです。まとまった時間がとれるのを待っていると、いつまでも始められません。そこでおすすめなのが、週に1時間だけ、決まった曜日に探究の時間をとる方法です。
なぜ週1時間でいいのか
探究で大切なのは、1回に使う時間の長さより、続けた期間と、そこで何に気づいたかです。総合型選抜の志望理由書や面接では、「いつから、どのように取り組んできたか」がよく聞かれます。週1時間でも、半年続ければ約25回、1年続ければ約50回の積み重ねになります。
また、探究では、調べたことを一度寝かせてから読み返すと、新しい疑問が出てくることがよくあります。1週間おきに取り組むと、この「寝かせる時間」が自然にできます。平日にふと思いついたことは、スマホのメモに1行だけ書いておき、週1時間の最初の10分で読み返しましょう。
1時間の使い方
| 時間 | やること |
|---|---|
| 最初の10分 | 前回の記録を読み返し、今日やることを1つ決める |
| 次の30分 | 調べる・試す・話を聞く |
| 次の15分 | 分かったことと気づいたことを記録する |
| 最後の5分 | 次回やることを1行で書く |
いちばん大切なのは、最後の5分です。ここを省くと、翌週に何をするか考えるところから始めることになり、30分の調べものの時間が削られてしまいます。次回やることが決まっていると、次の週の最初の10分で迷わずにすみ、30分の調べものにすぐ入れます。
4週間で1周する進め方
探究は、4週間を1つの区切りにすると、進み具合が分かりやすくなります。
| 週 | やること |
|---|---|
| 1週目 | 問いを決める。身近な疑問を1つ選び、「なぜ」「どうすれば」の形にする |
| 2週目 | 調べる。本や公的なデータで、すでに分かっていることを調べる |
| 3週目 | 確かめる。アンケート、観察、人への聞き取りなど、自分で確かめる |
| 4週目 | まとめる。分かったこと、分からなかったこと、次の問いをまとめる |
4週目に出てきた「次の問い」が、次の4週間の1週目になります。こうして1周ずつ回していくと、探究のテーマが少しずつ深まっていきます。
4週間の進め方の例
「駅前の商店街が静かになった」という疑問から始めた場合の、4週間の進め方の例です。
| 週 | やったこと | 記録した気づき |
|---|---|---|
| 1週目 | 疑問を「商店街のお店の数は、10年前と比べてどう変わったか」という問いにした | 何をもって「静か」と言うのか、数で確かめたいと思った |
| 2週目 | 市のホームページと図書館の資料で、商店街の店舗数の変化を調べた | 10年でお店の数が減っていた。ただし、飲食店は減っていなかった |
| 3週目 | 商店街を歩き、営業しているお店の種類を数えた。店主の方に話を聞いた | 開いているお店は飲食店と医療関係が多かった |
| 4週目 | 分かったこと、分からなかったことをまとめた | 「人が集まる商店街の条件は何か」という次の問いが出てきた |
この例のように、1周目で出てきた次の問いが、2周目のスタートになります。テーマは同じでも、問いが具体的になっていくのが分かります。
問いの立て方の例
身近な疑問を、調べられる問いの形にしてみましょう。
| 身近な疑問 | 調べられる問いの例 |
|---|---|
| 駅前の商店街が静かになった | 商店街のお店の数は、10年前と比べてどう変わったか |
| 学校の自動販売機でごみが多い | どの時間帯に、どんなごみが多いか |
| 小学生の弟が算数でつまずく | 小学生がつまずきやすい単元はどこか |
| 地元の川で魚が減った気がする | 川の水温や水質は、季節でどう変わるか |
問いは、最初から立派なものでなくてかまいません。調べていくうちに、問いが変わっていくのも探究の一部です。活動実績がないと感じるときの始め方は、活動実績がなくても総合型選抜は目指せる?でも説明しています。
信頼できる情報の調べ方
探究では、どこから情報を得たかが大切です。次のような情報源を使い、どこで調べたかを記録しておきましょう。
| 情報源 | 特徴 |
|---|---|
| 公的な統計(政府統計の総合窓口 e-Stat など) | 国や自治体が集めた数字。信頼性が高い |
| 自治体のホームページ | 地域の人口、施設、取り組みなど |
| 図書館の本 | 基本的な考え方や、これまでに分かっていること |
| 論文(CiNii Research などで探せる) | 研究者が調べた結果。難しければ要旨だけでもよい |
| 人への聞き取り | 本に書かれていない、現場の声 |
インターネットの記事を使うときは、誰が書いたか、いつの情報かを確かめましょう。出どころが分からない情報は、ほかの情報源でも確かめてから使います。調べたページの名前とURL、見た日付をメモしておくと、あとで書類に書くときにも確かめ直せます。
記録のしかた
1時間の中の15分で、次の4つを記録します。
- 日付
- やったこと(何を、どこで調べたか)
- 気づいたこと(驚いたこと、疑問に思ったこと)
- 次にやること
記録の残し方は、探究の記録の残し方でくわしく説明しています。4週間ごとに、その4週間で気づいたことを3行にまとめておくと、高校3年生で志望理由書を書くときの材料になります。
探究を書類と面接につなげる
週1時間の探究は、総合型選抜の書類と面接の材料になります。4週間ごとにまとめた3行を並べると、「何に興味を持ち、どう調べ、何に気づき、次に何を知りたくなったか」という流れが見えてきます。この流れは、志望理由書の「きっかけ」と「入学後に学びたいこと」をつなぐ部分に、そのまま使えます。
面接では、「探究で苦労したことは何ですか」「調べて意外だったことは何ですか」と聞かれることがあります。記録の「気づいたこと」の欄を読み返しておくと、具体的な場面を思い出して話せます。
つまずきやすい点
いちばん多いのは、問いを大きくしすぎることです。「環境問題を解決するには」のような大きな問いは、週1時間では手がつけられません。「学校のごみを減らすには」のように、自分の身の回りで確かめられる大きさにしぼりましょう。
次に多いのが、調べるだけで終わってしまうことです。本やインターネットで調べたことを並べるだけでは、探究にはなりません。3週目に、アンケートや観察など、自分で確かめる段階を必ず入れましょう。
もう1つは、定期テストの前に探究の時間をとり続けてしまうことです。テストの2週間前は探究を休み、記録を1行書くだけにして、テストが終わったら再開しましょう。時間の分け方は、定期テストと探究、どう両立する?で説明しています。
家族にできる手伝い
探究の1時間は、生徒さん本人が進めるものですが、家族にできる手伝いもあります。週1時間の曜日と時間を家族の予定にも書き込んで、その時間は用事を頼まないようにしてください。図書館や地域の施設に一緒に出かけたり、聞き取りの相手を紹介したりするのも、探究を広げる助けになります。4週目のまとめを家族に話す機会をつくると、生徒さんが自分の考えを言葉にする練習にもなります。
学年ごとの考え方
高校1年生は、問いを決めて4週間を1周させる経験を積む時期です。テーマはまだ変わってもかまいません。いくつかのテーマを試すこと自体が、興味を知る手がかりになります。高校2年生は、テーマを1つにしぼり、何周も回して深めていきます。学校の探究の授業と同じテーマにすると、時間を有効に使えます。高校3年生は、これまでの記録を読み返し、志望学部とのつながりを志望理由書にまとめます。
マスネットではこう進めます
オンライン学習塾マスネットの総合型選抜・学習伴走コースでは、月4回の授業を、教科・探究・英語資格・書類に毎月配分し直します。探究に授業を使う月は、生徒さんの記録をもとに、次の問いや確かめ方を一緒に考えます。くわしくはコースの特徴をご覧ください。
よくある質問
Q. 週1時間で、本当に探究になりますか?
A. なります。大切なのは、続けた期間と、そこで何に気づいたかです。週1時間でも、半年続ければ約25回の積み重ねになり、書類や面接で話せる経験になります。
Q. 何曜日にやるのがいいですか?
A. 部活や塾の予定が少ない曜日がおすすめです。週末の午前中など、毎週同じ時間に確保できる時間を選びましょう。
Q. 学校の探究の授業と、家での探究は別にしたほうがいいですか?
A. 同じテーマにするのがおすすめです。学校の授業で進めたことを、家の1時間で深めると、少ない時間でも内容が深まります。
Q. 途中でテーマを変えてもいいですか?
A. かまいません。4週間を1周したところで、テーマが合わないと感じたら変えましょう。変えた理由も記録しておくと、面接で話せる材料になります。
Q. 調べても分からないことがあります。
A. 分からなかったことも、大切な記録です。「何が分からなかったか」を書いておくと、次の問いや、人に聞くことにつながります。
まとめ
家での探究は、毎週同じ曜日に1時間と決めて続けましょう。1時間を、前回のふり返り・調べる・記録する・次の予定を決める、の4つに分け、4週間で、問いを決める・調べる・確かめる・まとめる、を1周させます。調べた情報の出どころと気づいたことを記録しておけば、志望理由書と面接の材料になります。
出典・参考にした資料
- 総務省統計局ほか「政府統計の総合窓口(e-Stat)」
- 国立情報学研究所「CiNii Research」