中学生の偏差値とは?50・60の意味と志望校判定の正しい見方
公開日 更新日 執筆:塾長 馬籠先生
模試の結果に「偏差値52」と書かれていても、それが良いのか悪いのか分からない。定期テストで80点を取ったのに、偏差値は思ったほど高くなかった。志望校の偏差値まで、あと3足りない。
偏差値は高校受験でよく使われますが、点数とは意味が違います。
偏差値は、同じテストを受けた人の中で、自分がどの位置にいるかを表す数字です。平均点と同じ得点ならおおむね50、平均より高ければ50より上、低ければ50より下になります。
この記事では、偏差値50・60の意味、点数との違い、模試や志望校判定を見るときの注意点を、中学生と保護者様向けに解説します。
偏差値は順位を比べやすくした数字
テストの点数だけでは、受験者の中での位置が分からないことがあります。
たとえば数学70点でも、平均点が45点の難しいテストなら高い位置にいます。平均点が82点の易しいテストなら、平均を下回ります。
偏差値は、平均点と点数のばらつきを使い、異なる難易度のテストでも位置を見やすくした数字です。
基本の式は次の通りです。
偏差値=50+10×(自分の得点−平均点)÷標準偏差標準偏差は、受験者の点数が平均からどれくらい広がっているかを表します。
中学生が毎回この式で計算する必要はありません。大切なのは、次の2点です。
- 平均点と同じなら、偏差値は50
- 同じ点数でも、受験者とテストが違えば偏差値は変わる
偏差値40・50・60・70はどのくらいか
偏差値と受験者内でのおおよその位置は、次のように考えられます。
| 偏差値 | おおよその位置 | 上位からの割合 |
|---|---|---|
| 70 | かなり高い | 約2% |
| 65 | 高い | 約7% |
| 60 | 平均より高い | 約16% |
| 55 | やや高い | 約31% |
| 50 | 平均 | 50% |
| 45 | やや低い | 下位約31% |
| 40 | 平均より低い | 下位約16% |
この割合は、点数が正規分布に近い場合の目安です。実際の模試では、受験者層や得点分布によって多少変わります。
偏差値50は「テストで50点」という意味ではありません。平均点が72点なら、72点前後で偏差値50になることがあります。
同じ80点でも偏差値は変わる
2つのテストで80点を取った場合を考えます。
テストA
- 自分の得点:80点
- 平均点:60点
- 標準偏差:10
50+10×(80−60)÷10=70偏差値は70です。
テストB
- 自分の得点:80点
- 平均点:75点
- 標準偏差:10
50+10×(80−75)÷10=55偏差値は55です。
どちらも80点ですが、受験者の中での位置は違います。
「80点を取れば偏差値60」といった決まった対応はありません。
定期テストの点数と模試の偏差値は別物
学校の定期テストは、授業で習った範囲から出題されます。受けるのは、原則として同じ学校・学年の生徒です。
高校受験模試は、中1から現在までの広い範囲から出題され、複数の学校の生徒が受けます。
| 項目 | 定期テスト | 高校受験模試 |
|---|---|---|
| 範囲 | 数週間から数か月分 | 既習範囲全体 |
| 受験者 | 同じ学校・学年が中心 | 広い地域の受験生 |
| 主な目的 | 授業内容の定着、評定 | 現在地、志望校判定 |
| 対策 | 学校ワーク、教科書、プリント | 基礎の総復習、初見問題、時間配分 |
定期テストで点が取れていても、前学年の内容を忘れていれば模試で伸びません。
反対に、模試の偏差値が高くても、提出物や実技4教科を含む学校の評価が低ければ、内申点で不利になることがあります。
定期テストと模試は、どちらか一方を見ればよいものではありません。
模試が違えば偏差値をそのまま比べられない
偏差値は、同じテストを受けた集団の中での位置です。
そのため、受験者層が違う模試どうしの偏差値を、そのまま横に並べることはできません。
たとえば、受験者の多い地域模試と、難関校志望者が多く受ける模試では、同じ学力でも偏差値が変わることがあります。
次の比較は注意が必要です。
- 模試会社Aの偏差値55と、模試会社Bの偏差値55
- 学校内の実力テスト偏差値と、都道府県模試の偏差値
- 中2の模試と、中3秋の志望校判定模試
成績の推移を見るなら、できるだけ同じ模試を継続して受けます。
志望校の偏差値表を見るときも、どの模試会社が出した数字かを確認してください。A社の模試結果を、B社の高校偏差値表へ当てはめても、正確な判定にはなりません。
高校の偏差値は合格点ではない
「偏差値60の高校」と書かれていても、その高校が公式に偏差値60を定めているわけではありません。
高校の偏差値は、模試会社や情報サイトが、過去の受験者データなどをもとに示した目安です。
実際の公立高校入試では、都道府県ごとの制度に従い、次のような資料を使って合否を判定します。
- 学力検査の得点
- 内申点・調査書
- 面接、作文、実技
- 学校独自検査
偏差値が志望校の目安を超えたから合格が決まるわけでも、1足りないから不合格が決まるわけでもありません。
高校受験では、偏差値を「合否を決める点数」ではなく、「現在地を知る目安」として使います。
A判定・C判定・E判定は何を表すのか
模試の志望校判定は、過去の受験データや現在の成績をもとに、合格可能性を段階で示したものです。
一般的にはAに近いほど可能性が高く、Eに近いほど現時点では厳しいとされます。ただし、A〜Eの基準や合格可能性の割合は模試会社によって異なります。
判定を見るときは、文字だけでなく次を確認します。
- 合格可能性が何%と示されているか
- 内申点を入力した判定か
- 志望校内順位は何位か
- 合格目標点まで何点足りないか
- どの教科が不足しているか
E判定でも、本番まで時間があり、基礎問題の失点が多いなら伸びる余地があります。
A判定でも、入試直前に勉強を止めたり、本番で時間配分を崩したりすれば安全ではありません。
判定は、安心したり落ち込んだりするためではなく、次に直す場所を決めるために使います。
偏差値は5教科と教科別の両方を見る
5教科偏差値が同じ55でも、中身は違います。
生徒A
- 国語:56
- 数学:58
- 英語:55
- 理科:53
- 社会:54
教科差が小さく、安定しています。
生徒B
- 国語:62
- 数学:43
- 英語:60
- 理科:50
- 社会:58
5教科では同程度でも、数学が志望校選びや本番の得点を不安定にする可能性があります。
5教科偏差値だけを上げようとすると、「全部もっと勉強する」という曖昧な計画になります。
教科別に見ると、得意を維持するのか、苦手を平均まで戻すのかを決められます。
偏差値を上げるには何点必要か
「偏差値を5上げるには、あと何点必要ですか」と聞かれることがあります。
必要な点数は、平均点と標準偏差によって変わります。
標準偏差が10のテストなら、偏差値を5上げるには得点を約5点上げる計算です。標準偏差が15なら、約7.5点必要です。
ただし、次の模試では平均点と得点分布が変わります。毎回「あと5点」とは限りません。
実際の勉強では、偏差値そのものを追うより、答案から取る問題を決めます。
- 数学の計算を2問取り切る
- 英語の単語・文法で8点戻す
- 理社の知識問題を各5点増やす
- 国語の漢字と文法を落とさない
- 最後の大問へ進む時間を残す
その結果として得点が上がり、偏差値が動きます。
偏差値が上がらないときに見る4つの原因
1.定期テストの勉強だけをしている
定期テスト前だけ学校ワークを仕上げても、模試の広い範囲には対応しにくいものです。
テスト期間外に、中1・中2の復習を入れます。
2.できる問題ばかり繰り返している
問題集を何周しても、毎回同じ易しい問題だけ解いていれば、取れる点は増えません。
間違えた問題へ印をつけ、解説を閉じて解き直します。
3.難問に時間を使いすぎている
偏差値50前後の段階で、正答率の低い難問ばかり解いても、模試の点数は安定しません。
まず、受験者の多くが取る基本問題を落とさないことが先です。
4.模試を受けっぱなしにしている
結果表だけを見て終わると、次も同じ単元で落とします。
返却後に、失点を次の3つへ分けます。
- 知識がなくて解けなかった
- 解き方は知っていたが使えなかった
- 時間不足や読み違いで落とした
原因ごとに、覚え直す、類題を解く、時間を計るなど対策を変えます。
学年ごとの偏差値の見方
中学1年生
偏差値で志望校を決める時期ではありません。
教科別のつまずきを見つけ、定期テストと家庭学習を整える材料にします。1回の数字が低くても、学習範囲がまだ狭いため、大きく動くことがあります。
中学2年生
同じ模試を継続して受け、推移を見始めます。
高校の候補を複数挙げ、現在の偏差値との差を確認します。ただし、内申点、通学、学科の内容も一緒に見てください。
中学3年生の春・夏
苦手単元を戻す時期です。
判定が低くても、入試範囲をまだ学び終えていないため、偏差値だけで志望校を下げる必要はありません。答案から、基礎の抜けを探します。
中学3年生の秋以降
志望校判定の意味が大きくなります。
複数回の推移、内申点、過去問得点を合わせて判断します。偏差値だけでなく、合格目標点との差を教科別に分けてください。
保護者様が偏差値を見るときの声かけ
結果表を見てすぐに「偏差値が下がった」と言うと、生徒さんは数字を隠したくなります。
先に、答案の中身を聞きます。
前回より取れるようになった単元はどこ?時間があれば解けた問題は何点分あった?次の模試までに、どの教科を3点上げる?偏差値が下がっていても、得点が上がっている場合があります。受験者層や平均点が変わった可能性もあります。
見る順番は、次の通りです。
- 得点
- 平均点
- 教科別偏差値
- 失点した単元
- 志望校判定
数字を評価するのではなく、次の行動へ変えます。
志望校は偏差値だけで決めない
高校選びでは、偏差値が近い学校だけを並べがちです。
しかし、入学後に3年間通う場所です。次の項目も確認してください。
- 学びたい学科・コースがあるか
- 通学時間は現実的か
- 校風や学校行事が本人に合うか
- 部活動や資格取得の環境
- 大学進学、専門学校、就職などの進路
- 公立入試で内申と当日点をどう評価するか
偏差値が同じ高校でも、選抜方法や教育内容は違います。
都道府県別の内申点の仕組みは、こちらで確認できます。
偏差値は現在地であって、限界ではない
偏差値は便利な数字です。ただし、本人の価値や、これから伸びる幅を表す数字ではありません。
同じ模試で推移を見て、教科別の答案から次に取る点を決める。そのために使うものです。
結果表を見ても、どこから直せばよいか分からない場合は、偏差値ではなく答案を見てもらってください。
マスネットでは、現在の得点、内申点、志望校の制度を並べ、必要な教科と単元から学習計画を組みます。
よくある質問
中学生の偏差値50はどのくらいですか?
同じテストを受けた集団の平均付近です。50点という意味ではありません。平均点が何点であっても、その平均と同じ得点なら偏差値はおおむね50です。
偏差値60は上位何%ですか?
点数分布が正規分布に近い場合、上位約16%が目安です。実際の割合は、模試の受験者層や得点分布によって変わります。
定期テストから偏差値を出せますか?
平均点と標準偏差が分かれば計算はできます。ただし、同じ学校の受験者内での位置です。広い地域での高校受験の位置を知るには、地域模試などの結果を使います。
模試によって偏差値が違うのはなぜですか?
受験者層、問題の難易度、得点のばらつきが違うためです。推移を見るときは、できるだけ同じ模試を継続して受けてください。
志望校の偏差値に届けば合格できますか?
合格が保証されるわけではありません。高校の偏差値は目安であり、実際の入試では学力検査、内申点、面接などを都道府県の制度に従って判定します。
偏差値が1下がったら学力も下がっていますか?
必ずしもそうではありません。得点が上がっていても、平均点や受験者層の変化で偏差値が下がる場合があります。1回の上下ではなく、数回の推移と答案の中身を見てください。