提出物を出さない中学生への対処|叱る前に確認したい3つの原因
公開日 更新日 執筆:塾長 馬籠先生
提出物を出していないと担任から連絡が来た。本人に聞いても「忘れてた」としか言わない。何度言っても同じことが繰り返される。
結論から言うと、提出物を出さない原因は「面倒だから」だけではありません。管理できていない、量が多すぎて手が止まっている、解けなくて止まっている。この3つは対処法がまったく違います。
オンライン学習塾マスネットでは、提出物の管理まで含めて中学生を指導しています。この記事では、原因の見分け方と、家庭でできる対処を書きます。
提出物を出さないことの代償
先に、なぜこれが深刻な問題なのかを整理します。
提出物は、評定の「主体的に学習に取り組む態度」を評価する中心的な材料です。テストの点が同じでも、提出物の有無で評定は変わります。
そして内申点は、多くの都道府県で高校入試の合否に直結します。提出物を出さないことは、テストで点を落とすのと同じか、それ以上の損失になり得ます。
しかも提出物は、努力がそのまま評価に反映される数少ない領域です。テストの点数を上げるには数週間かかりますが、提出物は次の提出から変えられます。ここを放置するのは、最も惜しい取りこぼしです。
原因1:管理できていない
最も多いのがこれです。本人にサボる意図はなく、単純に何がいつまでなのかを把握していない状態です。
中学生は、9教科分の課題を並行して抱えます。プリント、ワーク、レポート、振り返りシート。配られる場所もタイミングもバラバラで、これを頭の中だけで管理するのは大人でも難しい作業です。
見分け方は簡単です。「今、出さないといけないものは何?」と聞いてみてください。答えられなければ管理の問題です。
対処は、一覧化することです。何を・いつまでに、を1か所に書き出します。紙でもスマホのメモでも構いません。重要なのは、頭の外に出すことです。
そして、もらった日に手をつける習慣をつけます。締切から逆算するのではなく、受け取った瞬間に少し進める。これだけで未提出は大きく減ります。
原因2:量が多すぎて手が止まっている
課題がたまりすぎて、どこから手をつければいいか分からなくなっている状態です。
この状態の生徒は、課題を見るたびに気が重くなり、結果として先延ばしします。そしてさらにたまる。この悪循環に入ると、本人の意志では抜け出せません。
見分け方は、未提出が1教科ではなく複数教科にまたがっているかどうかです。特定の教科だけなら別の原因ですが、全体的にたまっているなら量の問題です。
対処は、優先順位をつけて減らすことです。すべてを完璧に出そうとすると動けません。まず提出期限が近いもの、次に評定への影響が大きいものから片づけます。
一度に全部を求めず、「今日はこの1つだけ」と絞ると動き出せます。たまった状態から抜け出すには、完璧を求めないことが条件です。
原因3:解けなくて止まっている
ワークの問題が分からず、そこで手が止まっているケースです。
この状態は、外から見ると「やる気がない」ように見えます。しかし実際には、分からないものを前にして座り続けられる人はいません。原因はやる気ではなく、つまずきです。
見分け方は、提出物を見せてもらうことです。途中まで解いて、ある問題から先が空白になっていれば、そこで止まっています。
対処は、分からない問題を解決することです。ただし家庭で教えようとすると、親子で衝突しやすくなります。学校の先生に聞く、塾で解決する、という形の方が続きます。
なお、この原因の場合、叱っても絶対に解決しません。むしろ「できない自分」を責められることで、勉強そのものから遠ざかります。
やってはいけない対処
叱り続ける。 原因が管理やつまずきにある場合、叱っても状況は変わりません。変わるのは親子関係だけです。
親が代わりにやる。 一時的に提出はできますが、管理する力は育ちません。しかも先生には見抜かれます。
答えを写させる。 提出はできても評価されません。丸写しのワークは、間違いも直しもないため「取り組んだ跡」がないと判断されます。しかもテストの点にもつながりません。
出し方を変えるだけで評価は上がる
出せるようになったら、次は出し方です。評価される提出物には条件があります。
期限を守る。 できれば1日早く出します。
空欄を作らない。 分からない問題も、調べる・質問するなどして埋めます。どうしても解けない場合は、考えた跡を残します。
間違いに直しを入れる。 ここが最も差がつく部分です。全問正解のワークより、間違い+赤の直しがあるワークの方が評価されます。しかも直しを入れる作業は、そのままテスト勉強になります。
提出の記録から見えたこと
ここからは、マスネットで実際に見えたことを書きます。
マスネットでは宿題システム上で提出状況を記録しています。このデータを見ていると、提出できない生徒の傾向がはっきり出ます。
まず、動き始めた生徒の多くは、最初は締切当日にまとめて提出しています。それが数ヶ月かけて、少しずつ前倒しになっていきます。つまり、最初から計画的にはなりません。まず出せるようになり、その後で早くなる。この順番です。
保護者の方には、この途中経過を「まだ計画的じゃない」と見ないでほしいと伝えています。出せるようになった時点で、大きく前進しています。
もう一つ、提出物の粒度についてです。マスネットでは授業ごとに、次回までの課題をシステム上のTODOとして1つずつ登録しています。「数学のワーク34ページ」「英単語20個」という粒度まで落とし込みます。
この形にしてから、それまで家庭学習がほぼゼロだった生徒が動き始めるケースを何度も見ています。「課題をやる」は行動になりませんが、「34ページを解く」は行動になります。この差は、本人のやる気より大きく結果を分けます。
そして毎日管理コースでは、21時にその日のTODOをLINEで通知し、翌日正午までに未完了なら再アラートを出しています。この仕組みを入れた生徒は、締切当日のまとめ提出がほぼなくなりました。同時に、家庭での「提出物やったの?」という声かけの回数も減ったという声をいただきます。
声をかける役割を家庭の外に出す。これが、親子関係を守りながら提出率を上げる、最も現実的な方法だと考えています。
よくある質問
Q. 提出物を出さないと内申はどれくらい下がりますか?
評定の「主体的に学習に取り組む態度」の評価が下がります。テストの点が同じでも評定が1段階変わることは十分にあります。多くの都道府県で内申は入試に直結するため、影響は小さくありません。
Q. 何度言っても出しません。
原因が管理かつまずきにある場合、声かけでは変わりません。何がいつまでかを一覧化する、分からない問題を解決する、という対処が必要です。
Q. たまりすぎてどこから手をつければいいか分かりません。
期限が近いもの、評定への影響が大きいものから絞ってください。すべてを完璧に出そうとすると動けなくなります。
Q. 親が手伝ってもいいですか?
管理の仕組みを一緒に作るのは有効です。ただし代わりにやるのは避けてください。管理する力が育たず、先生にも見抜かれます。
Q. 答えを写して出すのはダメですか?
評価されません。間違いも直しもないワークは、取り組んだ跡がないと判断されます。テストの点にもつながらないため、時間の無駄になります。
提出物の管理まで含めて相談したい方へ
何をいつまでに、を管理する仕組みは、家庭だけで作るのが難しい部分です。マスネットの中学生コースでは、授業ごとの課題設定と提出管理まで含めて、提出物が出せる状態を一緒に作っています。
内申点の計算方法は次のガイドにまとめています。