通知表は返ってきたけれど、これが受験でどう点数になるのかが分からない。学校では詳しく教えてくれないし、調べても都道府県ごとに書いてあることが違う。
結論から言うと、内申点は「9教科の評定合計」を土台に、対象学年と教科ごとの倍率をかけて算出します。この2つさえ分かれば、あとは足し算と掛け算だけで自分の内申点は出せます。
この記事では、47都道府県すべての計算式と、県を選ぶだけで計算できるツールを用意しました。オンライン学習塾マスネットで中学生の内申対策を担当している立場から、計算のあとに何をすべきかまで書きます。
内申点の計算に必要な3つの数字
内申点を計算するために必要な情報は、次の3つだけです。
1. 各教科の評定(5段階)
通知表に載っている9教科の数字です。多くの都道府県で、主要5教科(国語・数学・英語・理科・社会)と実技4教科(音楽・美術・保健体育・技術家庭)の合計9教科が対象になります。
2. 対象となる学年
中3だけを使う都道府県、中2と中3を使う都道府県、中1から中3すべてを使う都道府県があります。ここが最も大きな違いです。
3. 学年ごと・教科ごとの倍率
中3の評定を2倍にする、実技4教科を2倍にする、といった重み付けです。実技教科の倍率が高い都道府県は少なくありません。
この3つが分かれば計算できます。逆に言えば、この3つを確認しないまま「内申点」を語っても意味がありません。
計算の基本手順
手順は次の通りです。
手順1:対象学年の9教科の評定をすべて足す
中3の評定が5教科すべて4、実技4教科すべて3なら、4×5+3×4=32です。
手順2:教科ごとの倍率をかける
実技4教科が2倍の都道府県なら、5教科20点+実技12点×2=44点になります。
手順3:学年ごとの倍率をかけて合算する
中1・中2が1倍、中3が2倍なら、(中1の点)+(中2の点)+(中3の点×2)が内申点です。
手順4:満点と比べる
出た数字が何点満点のうちの何点なのかを確認します。ここを見ないと、高いのか低いのかが判断できません。
都道府県別の計算式
実際の計算式は都道府県ごとに大きく異なります。まず代表的な7都府県を詳しく解説し、その後に残る40道県の計算式をまとめます。自分の地域が見つからない場合も、「どの学年を使うか」「何を何倍するか」という読み方の型は共通です。
福岡県|中3のみ・45点満点
福岡県の公立高校入試の内申点は、中学3年生の9教科(英語・数学・国語・理科・社会・音楽・美術・保健体育・技術家庭)の5段階評定をすべて合計した45点満点です。中学1年・2年の成績は点数化されません。
計算式は「中3の9教科の評定合計」。9教科すべてが5なら45点になります。実技教科への倍率もかからないため、9教科すべてが等しい重みを持ちます。
中3の成績だけで決まるということは、裏を返せば中3で挽回できる余地が大きいということです。中1・中2で評定が振るわなかった生徒にとっては、有利に働く制度と言えます。
東京都|中3のみ・実技2倍
東京都の都立高校入試の調査書点は、中学3年生の9教科の5段階評定を使います。主要5教科はそのまま、実技4教科は2倍にして計算する「換算内申(65点満点)」を出し、それを300点満点に換算して求めます。
計算式は「主要5教科の合計 + 実技4教科の合計 × 2」。5教科すべて5(25点)、実技4教科すべて5(20点×2=40点)で65点満点です。
実技4教科が2倍になるため、実技の評定1つが主要教科の2つ分の価値を持ちます。実技対策の重要度が最も高い制度の一つです。
神奈川県|中2+中3(中3を2倍)・135点満点
神奈川県の公立高校入試の内申点は、中学2年生の学年末(9教科×5段階=45点満点)と、中学3年生の12月末時点の成績(9教科×5段階×2=90点満点)を合計した135点満点で計算します。
計算式は「中2の9教科合計 + 中3の9教科合計 × 2」。中2で45点、中3で45点なら、45+90=135点満点です。
中2の成績が算入されるため、中2の段階から内申を意識する必要があります。また中3は12月末時点で確定するため、それ以降は当日点で勝負する設計に切り替えることになります。
大阪府|中1〜中3(1:1:3)・450点満点
大阪府の公立高校入試では、中1〜中3の9教科(5段階評価)の成績を「1年×2 + 2年×2 + 3年×6」の比率で換算し、450点満点で計算します。各学年は45点満点で、比率は「1:1:3」です。
計算式は「中1の合計×2 + 中2の合計×2 + 中3の合計×6」。各学年45点なら、90+90+270=450点満点になります。
中1の成績から算入されるため、内申対策は中1から始まっています。ただし中3の比重が3倍あるため、中3での挽回余地も残されています。
埼玉県|中1〜中3・学年比率は高校が定める
埼玉県の内申点は、中学1年〜3年の「9教科×5段階評価(計45点満点)」をベースに、志望校が定める学年比率(1:1:1、1:1:2、1:1:3など)を掛けて算出します。最も一般的な比率は「1:1:2」で、3年の成績を2倍にして計算します。
比率が1:1:2の場合、計算式は「中1の合計 + 中2の合計 + 中3の合計×2」で、45+45+90=180点満点です。
志望校によって比率が変わるのが埼玉県の特徴です。志望校の募集要項で自分が受ける学校の比率を確認しないと、正確な内申点は出せません。
千葉県|中1〜中3合計135点+K値
千葉県の調査書点は、中学1年生から3年生までの3年間における、全9教科の5段階評定をすべて合計した135点満点が基本です。これに高校ごとに定められた「K値(0.5〜2.0倍、原則は1.0)」をかけて算出し、さらに調査書の評定以外の記載事項から最大50点を上限として加点が行われます。
計算式は「(中1+中2+中3の9教科合計)× K値 + 加点」。K値が1.0なら135点満点です。
K値と加点という二重の調整があるため、同じ評定でも志望校によって内申点が変わります。志望校のK値は募集要項で確認してください。
鹿児島県|中3のみ・実技20倍・450点満点
鹿児島県の公立高校入試の内申点は、主要5教科を2倍(50点満点)、実技4教科を20倍(400点満点)にし、合計450点満点で算出します。
計算式は「主要5教科の合計×2 + 実技4教科の合計×20」。5教科すべて5なら25点×2=50点、実技4教科すべて5なら20点×20=400点で、合計450点満点です。
注目すべきは、実技4教科が内申点全体の約89%を占めるという点です。これは全国的に見ても実技の比重が突出して高い制度で、主要5教科の評定を1つ上げても2点しか動かないのに対し、実技教科の評定を1つ上げると20点動きます。
主要5教科の勉強に時間を注いでも、実技の評定が低ければ内申点は伸びません。鹿児島県で内申点を上げたいなら、実技4教科の対策が最優先だと制度が示しています。実技のペーパーテスト・提出物・授業への取り組みを軽視しないことが、そのまま内申点に直結します。
その他の道県の計算式(40道県)
残る40道県の計算式です。いずれも公立高校の一般選抜を基準としています。推薦・特色選抜では計算が変わる地域が多いため、志望校の募集要項をあわせて確認してください。
北海道・東北
北海道
中1・中2は9教科の評定を2倍(各90点)、中3は3倍(135点)。合計315点満点。推薦選抜も同じ計算です。
青森県
中1〜中3の9教科をそのまま合計し135点満点。特色化選抜では特別活動等を点数化し、学年や教科に比重をかける高校もあります。
岩手県
5教科は中1で2倍・中2で4倍・中3で6倍、実技4教科は中1で3倍・中2で6倍・中3で9倍。学年比は1:2:3。合計660点に3分の2を掛けた440点が満点です。
宮城県
共通選抜では各学年の5教科の合計に実技4教科を2倍して加算。各学年65点、合計195点満点。特色選抜では高校ごとに換算率が設定されます。
秋田県
中1〜中3を使用し、実技4教科は2倍。各学年65点、合計195点満点です。
山形県
一般選抜では中3の45点満点のみが評価対象。中1・中2は点数化されません。
福島県
一般選抜では各学年の9教科の合計に実技4教科を加算し、合計195点満点。特別活動等を55点満点で点数化する高校もあります。
関東
茨城県
中1〜中3を各45点満点、合計135点満点。中3は1月末までの成績が反映されます。
栃木県
中1〜中3の9教科の評定合計を、500点満点に点数化します。学力点との比重は高校・学科が決めます。
群馬県
中1〜中3の9教科を各学年5段階で評価(135点満点)。調査書の影響度は学校・学科によって異なります。
中部
新潟県
中1〜中3の9教科を各45点満点、合計135点満点です。
富山県
中2を45点満点、中3を2倍して90点満点、合計135点。これに学習以外の活動15点満点を加え、調査書は150点満点となります。
石川県
中1〜中3の9教科が5段階で記載され、選抜の参考資料になります(135点満点)。点数化の詳細は公表されていません。
福井県
調査書には3年分が記載されますが、合否判定には中3の評定のみが使われます(45点満点)。
山梨県
後期募集では5教科を2倍、実技4教科を3倍で3年分を計算し330点満点。特別活動等30点が加点されます。
長野県
後期選抜で使われるのは中3の45点満点のみ。中1・中2は点数化されません。
岐阜県
第一次選抜では中1・中2に中3を2倍して加算し、合計180点満点です。
静岡県
一般選抜では中3の9教科45点満点。中3は2学期末(12月末)までが対象です。
愛知県
一般選抜では中3の9教科の合計を2倍し90点満点。学科によっては特定教科を1.5倍する傾斜配点があります。
近畿
三重県
後期選抜では中3の評定合計45点満点。前期選抜は高校ごとに点数化の方法が異なります。
滋賀県
中1〜中3の2学期までの9教科が5段階で記されます(135点満点)。
京都府
前期選抜は9教科の合計135点満点。中期選抜では実技4教科を2倍にして195点満点となります。
兵庫県
一般選抜では中3の5教科を4倍、実技4教科を7.5倍し、合計250点満点に換算します。
奈良県
2026年度入試から制度変更。中1・中2は「主体的に学習に取り組む態度」を3段階評価で各27点、中3は5段階を2倍して90点、合計144点満点です。2025年度までは中2+中3×2の135点満点でした。
和歌山県
中1・中2が各45点、中3を2倍して90点、合計180点満点です。
中国・四国
鳥取県
中3のみが対象。実技4教科を2倍して65点を基準とし、これに高校・学科が定める倍率(2〜4倍)がかかります。満点は130点・195点・260点の3パターンです。
島根県
中1・中2が各45点、中3を2倍して90点、合計180点の素点に180分の51を掛けて51点満点に換算。特別活動9点を加え60点満点となります。
岡山県
中1・中2が各45点、中3が110点で合計200点満点。中3、特に実技4教科が重視される配分です。
広島県
中1・中2はそのまま、中3は3倍。合計225点満点で比重は1:1:3です。
山口県
中1〜中3の評定が9教科5段階で記入されます(135点満点)。学習の記録以外も選抜資料になります。
徳島県
各学年の実技4教科を2倍し、各学年65点、合計195点満点です。
香川県
中1・中2が各45点、中3は5教科2倍・実技4教科4倍で130点。合計220点満点です。
愛媛県
中1〜中3を各45点満点、合計135点満点。第2選抜では特別活動の記録なども点数化されます。
高知県
中1・中2は9教科5段階で実技2倍の各65点、中3は10段階評価で実技2倍の130点。合計260点満点です。
九州・沖縄
佐賀県
中1〜中3の9教科が5段階で評価されます(135点満点)。特別活動や部活動の記録も点数化されます。
長崎県
中1〜中3の9教科が5段階で評価されます(135点満点)。中3は12月末までが対象です。
熊本県
後期選抜では中1・中2が各45点、中3を2倍して90点、合計180点満点です。
大分県
第一次選抜では中1・中2が実技2倍で各65点、中3が5教科2倍・実技4倍で130点。合計260点満点です。
宮崎県
中1〜中3の観点別学習状況と5段階評定が記載されます(135点満点)。評定の扱いは公開されていません。
沖縄県
中1〜中3の9教科のうち実技4教科を1.5倍し、各学年55点、合計165点満点です。
自動計算ツール
上記の手順を自動化したツールを用意しました。47都道府県すべてに対応しています。
都道府県を選ぶと、対象学年・5教科の倍率・実技4教科の倍率が自動で設定されます。あとは評定を選ぶだけで、内申点・満点・達成率が出ます。志望校ごとに倍率が変わる県(埼玉県・鳥取県など)では、募集要項の数値に書き換えて計算することもできます。
自分の都道府県の制度が分からない場合も、選択した時点で計算式の説明が表示されます。
内申点 自動計算ツール(47都道府県対応)
登録不要・無料でお使いいただけます
都道府県を選んで通知表の評定を入れるだけで、内申点・満点・達成率がわかります。対象学年や実技4教科の倍率は都道府県ごとに違うため、47都道府県すべての計算式を登録しています。
福岡県は45点満点、東京都は換算内申65点、神奈川県は135点、鹿児島県は450点。県を選べば、その県の計算式の説明も表示されます。
内申点を計算する
計算結果をどう読むか
出てきた数字を、次の3つの視点で見てください。
視点1:志望校の目安との差
志望校が求める内申点の目安は、中学校の進路資料や進学情報サイトで確認できます。「あと何点必要か」が分かると、次にやることが決まります。
視点2:どの教科で落としているか
評定3が並んでいるなら全体の底上げが必要ですが、1教科だけ2があるなら、そこを3にするのが最短です。特に倍率のかかる実技教科での2は、想像以上に響きます。
視点3:まだ上げられる学年が残っているか
中3の2学期で確定する都道府県が多いため、それ以前ならまだ動かせます。確定後は当日点で勝負する設計に切り替える必要があります。
現場で見えた「内申が動く生徒・動かない生徒」の差
ここからは、マスネットで中学生を指導する中で実際に見えたことを書きます。
内申点の相談で最も多いのが「テストの点は悪くないのに評定が上がらない」というケースです。マスネットでは毎回の授業後に報告書を作成し、宿題の提出状況をシステム上で管理しているのですが、このデータを見ると傾向がはっきり出ます。
評定が上がった生徒に共通していたのは、提出物の「出し方」を変えたことでした。
具体的には3点です。期限より1日早く出す。空欄をゼロにする。間違えた問題に赤で直しを入れる。この3つを徹底しただけで、テストの点数が変わっていないのに評定が上がった生徒が複数います。実際に、テストは平均点前後だったにもかかわらず内申オール5を獲得した生徒もいます。
逆に、内申が動かない生徒には共通点があります。宿題システムの提出履歴を見ると、締切日の夜に一気に提出しているのです。これは学校のワークでも同じことが起きています。まとめてやると空欄と写しが増え、「取り組んだ跡」が残りません。
マスネットで運用している毎日管理コースでは、21時にLINEでその日のTODOを通知し、翌日正午までに未完了なら再アラートを出しています。この仕組みを入れた生徒は、提出物の締切直前まとめ提出がほぼなくなりました。内申を上げるために必要なのは意識ではなく、締切より前に手をつける仕組みだというのが、運用して分かったことです。
もう一つ、福岡・鹿児島の中学生を見ていて感じるのは、実技教科の対策をしている生徒がほとんどいないことです。倍率がかかる都道府県では、実技の評定を1つ上げる価値は主要教科と同等かそれ以上です。テスト1週間前に配布プリントを暗記するだけで評定が動く余地が、多くの生徒に残っています。
よくある質問
Q. 内申点は何点満点ですか?
都道府県によって異なります。9教科×5段階×対象学年数×倍率で決まるため、45点満点の地域もあれば、135点満点、それ以上の地域もあります。まず自分の地域の満点を確認してください。
Q. 中1の成績も受験に使われますか?
使う都道府県と使わない都道府県があります。中3のみの地域もあれば、中1から算入する地域もあります。中学校の進路資料で確認してください。
Q. 実技4教科は本当に重要ですか?
重要です。実技教科に2倍の倍率をかける都道府県があり、その場合は実技の評定1つが主要教科の評定2つ分に相当します。対策している生徒が少ない分、差をつけやすい部分でもあります。
Q. テストの点が良いのに評定が上がりません。
提出物と授業態度の評価が低い可能性があります。特に提出物は「出したかどうか」だけでなく「どう取り組んだか」が見られています。空欄の有無、直しの有無を確認してください。
Q. 内申点が確定するのはいつですか?
多くの都道府県で中3の2学期(または後期)の評定が使われます。ただし12月末、1月末、2月10日など、締め切りは県によって異なります。確定後は変えられないため、それ以前に手を打つ必要があります。正確な時期は中学校で確認してください。
Q. 実技4教科の倍率が高い県はどこですか?
鹿児島県が20倍と最も高く、実技が内申点の約9割を占めます。次いで兵庫県が7.5倍、香川県と大分県が中3で4倍、山梨県が3倍です。東京都・宮城県・秋田県・京都府(中期)・徳島県などは2倍です。実技の対策をしている生徒は少ないため、これらの県では差をつけやすい部分になります。
内申点を上げる具体策を知りたい方へ
内申点の計算ができたら、次は「どこを上げるか」の設計です。マスネットの中学生コースでは、定期テストの点数対策に加えて、提出物の取り組み方や実技教科の対策まで含めて内申全体を設計しています。
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※本記事の計算式は、各都道府県教育委員会の公表資料および入試情報をもとに整理したものです。内申点の算出方法・対象学年・倍率は、都道府県、入試方式(一般・推薦・特色など)、志望校および年度により異なります。実際の計算方法は、必ず在籍する中学校または各都道府県教育委員会・志望校の募集要項でご確認ください。