中1で勉強についていけないとき|つまずきの正体と、戻る地点の見つけ方
公開日 執筆:塾長 馬籠先生
小学校では困っていなかったのに、中学に入った途端に成績が下がった。授業が分からないと言い出したが、どこから手をつければいいのか分からない。
結論から言うと、中1でついていけなくなる原因は「中学の勉強が難しいから」ではありません。小学校とは進み方が違うこと、そして小学校の内容に残っていた小さな穴が表面化することの2つです。
オンライン学習塾マスネットでは、中1のつまずきの立て直しを多く担当しています。この記事では、原因の特定方法と、具体的な対処を書きます。
中1でつまずくのは珍しいことではない
まず知っておいてほしいのは、この時期のつまずきは非常に多いということです。
小学校と中学校では、学習の仕組みが大きく変わります。授業の進度が速くなり、教科ごとに担当の先生が変わり、定期テストという制度が始まります。環境の変化が一度に押し寄せるのが中1です。
そのため、小学校で成績が良かった子でも中1でつまずくことがあります。能力の問題ではなく、変化への適応の問題です。
そして重要なのは、この時期のつまずきは対処すれば取り戻せるということです。中2・中3になるほど範囲が広がり、埋める作業が大変になります。早く手を打つほど負担は小さくなります。
小学校との3つの違い
違い1:授業の進度が速い
小学校では、同じ単元を何度も練習する時間がありました。中学では、その日習ったことを家で復習しないと次に進んでしまいます。
授業内で理解しきれない部分が出るのが前提の進度です。それを家で埋める習慣がないと、少しずつ差が開きます。
違い2:定期テストという制度
小学校の単元テストは、習った直後に、狭い範囲で行われます。中学の定期テストは、数週間分の内容をまとめて問われます。
計画的に準備する必要があり、その方法を誰も教えてくれないのが実情です。範囲表の読み方も、いつから始めるかも、知らなければ対応できません。
違い3:抽象度が上がる
数学では正負の数や文字式が登場し、具体的な数から抽象的な記号へと移行します。英語では文法という概念が加わります。
小学校の算数が「計算」だったのに対し、中学の数学は「ルールを理解して使う」教科に変わります。ここの切り替えでつまずく子は多くいます。
つまずきの正体を特定する
「ついていけない」と一言で言っても、原因は教科によって違います。
数学の場合
中1数学でつまずく子の多くは、小学校の内容に原因があります。
分数・小数の計算、割合、比。これらが曖昧なまま中学に上がると、正負の数や文字式の段階で行き詰まります。中学の内容を繰り返しても解決しません。
確認方法は、小学校範囲の計算問題を解かせることです。分数の足し算引き算、小数のかけ算わり算、割合の問題。ここで手が止まるなら、原因はそこにあります。
英語の場合
英語は中学から本格的に始まるため、小学校の穴という問題は起きにくい教科です。つまずきの多くは、単語と基本文法にあります。
be動詞と一般動詞の区別がついていない。単語が読めない、書けない。この2つが典型的なつまずきです。
確認方法は、教科書の本文を音読させ、日本語に訳せるか確認することです。単語で止まるのか、文の構造で止まるのかが分かります。
理科・社会の場合
暗記量が増えることが主な原因です。小学校より覚える用語が多く、方法を知らないと対応できません。
確認方法は、テスト勉強のやり方を聞くことです。「教科書を読む」だけで済ませているなら、方法の問題です。
具体的な対処
数学:戻ることを恐れない
原因が小学校範囲にあるなら、そこまで戻ります。中1でも小5・小6の内容に戻ることは、遠回りではなく最短ルートです。
土台が固まると、中学の内容を理解する速度が上がります。分数の計算が確実になれば、文字式の計算も楽になります。
戻る範囲の特定は、簡単な問題から順に解かせて「解ける」と「解けない」の境目を探す形で行います。
英語:単語と本文から
英語が苦手な段階では、やることを絞ります。範囲の単語を書けるようにする。教科書の本文を訳せるようにする。この2つだけでも、定期テストで平均点前後は狙えます。
文法の細かい問題で悩むより、この土台を作る方が先です。
理科・社会:暗記の方法を変える
読むだけの暗記から、思い出す練習に変えます。ワークの一問一答を、答えを隠して解く。間違えた問題に印をつけ、翌日また解く。
記憶は、情報を入れるときではなく、思い出そうとするときに定着します。この方法の違いだけで、同じ時間でも結果が変わります。
全教科:テスト勉強の型を作る
中1で最も価値があるのは、正しいテスト勉強の型を身につけることです。
範囲表が出たら計画を立てる。2週間前からワークを始める。間違えた問題を3回繰り返す。提出物を期限内に、直しを入れて出す。
この型を中1で作れると、中2・中3の成績が安定します。逆に、型がないまま学年が上がると、範囲が広がるにつれて対応できなくなります。
現場で見えたこと
ここからは、マスネットで実際に見えたことを書きます。
中1で「ついていけない」という相談を受けたとき、まず小学校範囲の確認から入ります。すると、保護者が想像しているより手前でつまずいているケースが非常に多いという結果になります。
中1の数学が分からない原因が、小4の分数にあった。中1の子が小5の割合で止まっていた。こうした例は珍しくありません。中学の教科書を何度読んでも解決しないのは、原因がそこにないからです。
そして、手前から始めた生徒ほど、その後の伸びは速い傾向があります。土台が固まると理解の速度が変わるためです。基礎から積み直して数学が30点台から80点台まで伸びた生徒もいます。
もう一つ、テスト勉強の型についてです。マスネットでは授業ごとに、次回までの課題をシステム上のTODOとして1つずつ登録しています。「数学のワーク34ページ」という粒度まで落とし込む形です。
宿題システムの記録を見ると、中1のうちにこの形で学習リズムができた生徒は、中2以降も提出が安定しています。逆に、中1で締切当日にまとめて提出する習慣がついた生徒は、中2・中3でも同じ状態が続く傾向がありました。
中1で作った習慣は、その後の2年間そのまま続きます。だからこそ、この学年での立て直しには価値があります。
私自身、中学時代はクラスで最下位に近い成績でした。変わったきっかけは、やることが具体的になり、分かる部分が増えたことでした。授業が分かるようになると、勉強そのものが苦痛でなくなります。中1のつまずきは、その入口を作り直せるタイミングでもあります。
よくある質問
Q. 中1でつまずくのは珍しいことですか?
珍しくありません。小学校と中学校では授業の進度、テストの仕組み、内容の抽象度が大きく変わります。環境の変化への適応の問題であることが多くあります。
Q. 小学校の内容に戻るべきですか?
数学でつまずいている場合は戻るべきです。分数・小数・割合が曖昧なまま中学の内容を繰り返しても解決しません。土台が固まると理解の速度が上がります。
Q. どこでつまずいているか分かりません。
簡単な問題から順に解かせて、解けると解けないの境目を探してください。数学なら小学校範囲の計算、英語なら教科書本文の音読と和訳で確認できます。
Q. 英語が苦手です。何から始めればいいですか?
範囲の単語を書けるようにすることと、教科書本文を訳せるようにすることの2つに絞ってください。この土台だけで平均点前後は狙えます。
Q. 中1のうちにやっておくべきことは何ですか?
正しいテスト勉強の型を身につけることです。2週間前から始める、ワークを繰り返す、提出物を丁寧に出す。この型が中2・中3の成績を支えます。
Q. 中1の成績は高校受験に影響しますか?
都道府県によります。中1から内申点に算入される地域もあれば、中3のみの地域もあります。自分の地域の制度を確認してください。
つまずきの特定から相談したい方へ
どこで止まっているかを正確に特定することは、家庭だけで判断するのが難しい部分です。マスネットの中学生コースでは、現在地の診断、戻る範囲の設定、テスト勉強の型づくりまで一緒に進めています。