ケアレスミスが多い子の直し方|「気をつける」では減らない理由
公開日 執筆:塾長 馬籠先生
答案を見ると、分かっていたはずの問題を落としている。「次は気をつける」と本人は言うけれど、毎回同じことが起きる。
結論から言うと、ケアレスミスは「気をつける」では減りません。気をつけるは具体的な行動ではないため、本番では結局いつも通りに解いていつも通りに間違えます。減らすには、ミスの記録と、自動的に発動するチェック手順が必要です。
オンライン学習塾マスネットでは、答案の分析からミス対策まで指導しています。この記事では、ミスを技術で減らす方法を書きます。
ケアレスミスは「もったいない」では済まない
まず、影響の大きさを確認します。
5教科でそれぞれ3〜4点をミスで失うと、合計で15〜20点です。これは、苦手教科を1つ底上げするのと同じインパクトになります。
しかもケアレスミスは、すでに理解している内容で失っている点数です。新しく覚える必要も、難しい問題を解けるようになる必要もありません。減らした分がそのまま得点になります。
最も効率の良い点数アップでありながら、対策されていないことが多い領域です。
なぜ「気をつける」では減らないのか
理由は明確です。気をつけるという言葉は、行動を指定していないからです。
何を、いつ、どうやって確認するのか。これが決まっていないため、テスト本番では意識が働かず、いつも通りに解き進めます。そして同じ場所で同じミスをします。
意識でどうにかしようとするのは、ミス対策として最も失敗しやすい方法です。必要なのは、ミスが起きる場面で自動的に発動する手順です。
ステップ1:ミスを記録して種類を知る
対策の前に、自分がどんなミスをするかを知る必要があります。人によってミスの傾向は違うためです。
テストや問題演習で出たケアレスミスを、ノートに書き出します。分類は次の4つです。
計算ミス。 符号を間違える、繰り上がりを忘れる、約分を忘れる。
写し間違い。 問題の数字を写し間違える、自分の途中式を写し間違える。
読み違い。 問題文の指示を読み飛ばす、単位を見落とす、「正しくないもの」を選ぶ問題で正しいものを選ぶ。
解答欄のミス。 記入位置がずれる、記入漏れ、名前の書き忘れ。
記録すると、自分のミスには偏りがあることが分かります。「符号ミスが多い」「問題文の読み飛ばしが多い」という傾向が見えれば、対策の的が絞れます。
ステップ2:傾向に対応するチェック手順を作る
傾向が分かったら、それに対応する具体的な手順を決めます。
符号ミスが多いなら、移項や分配の場面で一度手を止めて符号を確認する。
読み違いが多いなら、問題文の指示語(すべて、正しくないもの、単位など)に下線を引く。
単位ミスが多いなら、答えを書く前に単位を確認する。
解答欄のミスが多いなら、大問が変わるたびに解答欄の位置を確認する。
重要なのは、自分専用のチェックリストにすることです。全員に共通する対策より、自分の傾向に合わせた手順の方が確実に機能します。
そして、この手順を普段の演習から実行します。本番だけやろうとしてもできません。習慣になっていれば、緊張していても自然に発動します。
ステップ3:見直し時間を最初から確保する
「時間が足りなくて見直せなかった」は、ミス放置の典型的なパターンです。
見直しは、余った時間にやるものではありません。最初から時間配分に組み込むものです。
50分のテストなら、45分で解き切り、残り5分を見直しに充てると事前に決めておきます。この配分を、テスト前日に科目ごとに決めておくと、本番で迷いません。
そして見直しの方法にも原則があります。もう一度解くのではなく、ミスを探すことです。
自分のミスパターン(記録から判明したもの)を重点的にチェックします。やみくもに全部見直すより、狙いを絞る方が発見率は高くなります。
普段の演習で減らす習慣
本番だけ気をつけても減りません。日常の勉強から変える必要があります。
途中式を省略せずに書く。 頭の中の計算はミスの温床です。書けば見直しもできます。
字を丁寧に書く。 6と0、7と1、bと6。自分の字を読み間違えることは意外と多くあります。
丸つけのとき、ケアレスミスも間違いとして記録する。 「まあ合ってたからいい」と流しているミスが、本番で出ます。演習段階で潰しておくことが対策です。
現場で見えたこと
ここからは、マスネットで実際に見えたことを書きます。
答案を一緒に分析していて感じるのは、ケアレスミスは「性格」ではなく「特定のパターンの繰り返し」だということです。
生徒の答案を数回分並べると、驚くほど同じ場所で同じミスをしています。符号ミスが多い生徒は毎回符号で落とし、読み飛ばしが多い生徒は毎回問題文の条件を見落とします。ランダムに起きているのではなく、決まった型があるのです。
型があるということは、対策できるということです。マスネットでは、答案からミスの傾向を洗い出し、その生徒専用のチェック手順を作ります。全員に同じ対策を教えるのではなく、その子が実際にやっているミスに合わせます。
もう一つ、見直しの時間についてです。「時間が足りず見直せなかった」と言う生徒の答案を見ると、実は最後の難問に時間を使いすぎているケースがほとんどでした。解けない問題に粘った結果、確実に取れたはずの問題の確認ができていない。
そのため指導では、時間配分と同時に「飛ばす判断」も練習します。2分考えて方針が見えなければ次に進む、という基準を持っておくと、見直し時間が確保できます。難問を1問取ることより、ミスを3つ防ぐ方が点数は上がります。
そして、途中式についてです。宿題システムで提出された答案を見ていると、途中式を書く習慣がある生徒とない生徒で、ケアレスミスの数に明確な差が出ています。書かない生徒は暗算の量が多く、その分ミスが増えます。しかも間違えたときに、どこで間違えたのかが本人にも分かりません。
途中式を書くことは、単に丁寧さの問題ではなく、ミスを発見可能にする技術です。
よくある質問
Q. ケアレスミスは本当に直せますか?
直せます。ミスは性格ではなく、特定のパターンの繰り返しです。記録して傾向を知り、対応するチェック手順を作れば確実に減らせます。
Q. どのくらいで効果が出ますか?
自分のミスパターンを把握し、チェック手順を普段の演習で習慣化すれば、数回のテストで変化が見え始めます。
Q. 見直しをしても間違いに気づけません。
やみくもな見直しは効果が薄くなります。自分のミスパターンを絞って確認してください。全部を均等に見るより発見率が上がります。
Q. 時間が足りず見直しができません。
見直し時間を最初から時間配分に組み込んでください。また、解けない問題に粘りすぎていないかも確認が必要です。飛ばす判断の基準を決めておくと時間が確保できます。
Q. 「丁寧にやりなさい」と言っても変わりません。
気をつけると同じで、具体的な行動を指定していないためです。「途中式を書く」「符号の場面で手を止める」など、行動レベルまで落とす必要があります。
Q. 途中式を書きたがりません。
途中式は丁寧さのためではなく、間違いを発見するための技術だと伝えてください。書かないとどこで間違えたか本人にも分かりません。
答案の分析から相談したい方へ
自分のミスの傾向を知り、それに合わせた手順を作る。この作業は、答案を客観的に見る第三者がいると精度が上がります。マスネットの中学生コースでは、答案からミスのパターンを分析し、その子専用のチェック手順を一緒に作っています。