親が子どもに勉強を教えるべきか|教えると決めた場合の3つのルール
公開日 更新日 執筆:塾長 馬籠先生
分からないと言われて教えようとすると、なぜか喧嘩になる。教えた方がいいのか、任せた方がいいのかが分からない。
結論から言うと、教えること自体は悪くありません。問題は、親子で教える関係になると感情がぶつかりやすいことです。教えると決めるなら、ルールを先に作ってください。
オンライン学習塾マスネットでは、家庭学習の設計まで含めて指導しています。この記事では、教える場合と任せる場合の判断基準を書きます。
なぜ親子だと衝突するのか
同じ内容を教えても、塾の講師なら成立して、保護者様だと喧嘩になる。これはよくあることです。
理由は3つあります。
理由1:感情の距離が近い
他人には出せない反応が、家族には出ます。
「なんで分からないの」という言葉は、講師なら言いません。しかし保護者様は、期待や焦りがあるぶん、つい出てしまいます。
そして生徒さんの側も、他人には見せない反発を家族には見せます。
理由2:評価する関係になる
教える側は、必然的にできているかどうかを判断する立場になります。
この関係は対等ではありません。特に反抗期の時期には、最も受け入れにくい形です。
理由3:逃げ場がなくなる
塾なら、授業が終われば終わりです。しかし家庭では、勉強が終わっても同じ空間にいます。
勉強でぶつかった後、そのまま食事をして、翌朝も顔を合わせる。切り替える場面がありません。
教えることの利点
一方で、保護者様が教えることには利点もあります。
費用がかかりません。
すぐ対応できます。分からない場面でその場で聞けます。
理解度が分かります。どこでつまずいているかを、直接見られます。
小学生のうちは特に有効です。内容が理解しやすく、一緒に取り組む時間そのものに意味があります。
つまり、教えるかどうかは一律には決められません。状況によって判断が変わります。
教えない方がいい場合
次に当てはまる場合は、外に任せることをおすすめします。
1. 教えるたびに喧嘩になっている
すでに関係が悪化している状態です。
このまま続けると、勉強そのものが嫌な記憶と結びつきます。勉強を嫌いにさせるリスクの方が、教える利点を上回ります。
2. 内容が分からなくなってきた
中学の内容から、教える難易度が上がります。
特に数学と英語は、解き方だけでなく「なぜそうなるか」を説明する必要があります。自分が解けることと、教えられることは別の技術です。
また、教え方が学校と違うと、生徒さんが混乱することもあります。
3. 反抗期に入っている
親からの指示に反発する時期です。
内容が正しくても、「親から言われた」という形が受け入れられません。この時期は、教える相手を変えるだけで状況が変わります。
4. 保護者様に余裕がない
仕事や家事で疲れているとき、教える余裕はありません。
余裕がない状態で教えると、言葉が強くなります。これは保護者様の問題ではなく、人間の仕組みです。
教えると決めた場合の3つのルール
それでも教えると決めた場合、次のルールを作ってください。
ルール1:時間を区切る
「分かるまで」ではなく「30分まで」と決めます。
終わりが見えないと、双方が消耗します。そして疲れてくるほど、感情が出やすくなります。
時間が来たら、途中でも終える。残った部分は、翌日か、学校の先生に聞く。この切り替えを最初に決めておきます。
ルール2:答えを教えない
答えを教えると、その場は解決しますが力はつきません。
やることは、考える手順を示すことです。
「問題文をもう一度読んでみて」「何が分かっていて、何を聞かれている」「似た問題は前にやった」
質問で返す形にすると、生徒さんが自分で考える余地が残ります。
ルール3:感情が出たら中断する
声が大きくなった時点で、その日は終わりにしてください。
続けても、内容は入りません。残るのは、嫌な記憶だけです。
「今日はここまでにしよう」と言って離れる。これは逃げではなく、関係を守るための判断です。
学年で変わる関わり方
小学生
一緒に取り組む形が有効です。
内容が理解しやすく、保護者様が教えることのハードルも低くなります。
ただし、先回りしすぎないでください。答えを教えるのではなく、考える時間を待つことが重要です。
この時期に育てたいのは、分からないときに考え続ける経験です。
中学生
教える役から、環境を整える役へ移行する時期です。
内容が難しくなり、反抗期も重なります。ここで教える役を担い続けると、衝突が増えます。
保護者様が担うのは、勉強できる環境を整えること、生活リズムを支えること、そして必要なら外部に任せる判断をすることです。
高校生
基本的に任せる時期です。
内容の専門性が上がり、保護者様が教えることは現実的ではなくなります。
この時期の役割は、情報の提供と、費用や進路の現実的な条件を共有することです。
外に任せる場合の選び方
任せる判断をした場合、任せる先によって結果が変わります。
つまずきの特定ができるか。今の学年の内容が分からない原因が、過去の単元にあることは多くあります。この判断ができる形式かどうかを確認してください。
質問できる環境か。分からない場面で聞けなければ、状況は変わりません。
授業外の管理があるか。週1回の授業だけでは、家庭学習は変わりません。次回までにやることが示されるかを確認してください。
保護者様に共有があるか。任せた後も、何をどこまで進めたかが分かる形だと、不安が減ります。
現場で見えたこと
ここからは、マスネットで実際に見えたことを書きます。
保護者様からご相談をいただくとき、「家で教えようとしたが、喧嘩になってしまう」という言葉を非常に多く聞きます。
そして話を聞くと、保護者様は真剣に向き合っていることが分かります。時間を作り、内容を確認し、教えようとしている。熱心だからこそ、感情が出ます。
この状況で有効なのは、教える役割を外に出すことです。
同じ内容でも、言う人が変わると反応が変わります。家庭で反発していた生徒さんが、塾の課題には取り組む。これは非常によくあることです。
そしてマスネットでは、保護者様には生活面と応援に徹していただく分担を提案しています。
この分担ができたご家庭の方が、生徒さんの学習量も、家庭の空気も安定していました。
もう一つ、教え方の違いによる混乱についてです。
保護者様が習った解き方と、今の学校の教え方が違うことがあります。特に算数と数学では、同じ答えでも過程の書き方が変わっている場合があります。
良かれと思って教えた方法が、学校のテストでは減点されることもあります。内容を教えるより、学校の教え方に合わせて確認する方が安全な場面もあります。
そして、小学生についてです。この時期に一緒に取り組んだ経験は、後の学習習慣につながります。
ただし、答えを教えるのではなく、考える時間を待つ形です。実際に、算数の確認テストで点が取れなかった小学5年生が、基礎から積み直して7回連続で100点を取れるようになったケースがあります。このとき効いたのは、教え込むことではなく、解ける地点から積み上げる設計でした。
よくある質問
Q. 親が勉強を教えるのは良くないですか。
悪くありません。小学生のうちは特に有効です。ただし親子だと感情がぶつかりやすいため、ルールを作ることをおすすめします。
Q. 教えるたびに喧嘩になります。
すでに関係が悪化している可能性があります。このまま続けると勉強そのものが嫌な記憶と結びつくため、外に任せる判断を検討してください。
Q. 中学の内容が分からなくなってきました。
教えることが難しくなる時期です。自分が解けることと、教えられることは別の技術です。無理をせず、環境を整える役に移行してください。
Q. 答えを教えてしまいます。
その場は解決しますが力はつきません。質問で返す形にすると、考える余地が残ります。「何が分かっていて、何を聞かれている」といった問いかけが有効です。
Q. 学校と教え方が違うようです。
特に算数と数学では、過程の書き方が変わっている場合があります。良かれと思って教えた方法が減点されることもあるため、学校の教え方に合わせる方が安全です。
Q. 外に任せる場合、何を基準に選べばいいですか。
つまずきの特定ができるか、質問できる環境か、授業外の管理があるか、保護者様に共有があるか。この4点を確認してください。
教える役割を外に出したい方へ
保護者様が教える役まで担うと、勉強が親子関係の火種になります。役割を分けることで、家庭の空気が変わります。
マスネットでは、つまずきの特定から課題の設定、提出の管理まで担っています。保護者様には、生活面と応援に専念していただける形です。