高校数学が分からなくなったとき|中学のどこまで戻るかで決まります
公開日 更新日 執筆:塾長 馬籠先生
高校に入って数学だけが分からなくなった。授業のスピードについていけず、問題を見ても何をすればいいか浮かばない。
結論から言うと、高校数学でつまずく生徒さんの多くは、中学数学に原因があります。高校の教科書を何度読んでも解決しないのは、原因がそこにないからです。戻る地点を特定することが先決です。
オンライン学習塾マスネットでは、つまずきの特定から高校生の数学を指導しています。この記事では、原因の見つけ方と対処を書きます。
高校数学でつまずく3つの理由
理由1:中学数学の土台が足りていない
最も多い原因です。
高校数学は、中学数学の上に積み上がります。中学で曖昧だった部分が、高校で一気に表面化します。
特に影響が大きいのは次の4つです。
展開と因数分解。高校数学ⅠAでは、式の変形が頻繁に出てきます。ここが遅い、あるいは正確でないと、すべての単元で足を引っ張ります。
平方根の計算。二次方程式、三角比、数列。あらゆる場面で出てきます。
一次関数と二次関数の基礎。高校の二次関数は、中学の内容の延長です。グラフと式の対応が理解できていないと進めません。
連立方程式。高校では、条件から複数の式を立てて解く場面が増えます。
理由2:進度が中学の約2倍になる
中学では、同じ単元を何度も練習する時間がありました。
高校では、その日習った内容を家で復習しないと次に進んでしまいます。授業内で理解しきれない部分が出るのが前提の進度です。
1回分からない部分が出ると、次の授業も分からなくなります。この連鎖が数週間続くと、単元全体が分からなくなります。
理由3:抽象度が上がる
高校数学は、文字を扱う場面が一気に増えます。
中学では具体的な数値が多くありましたが、高校では文字のまま処理する問題が中心になります。
そして、「なぜそうなるか」を理解しないまま手順だけ覚えると、応用で必ず崩れます。
中学までは暗記で乗り切れた部分が、高校では通用しません。
戻る地点の見つけ方
闇雲に中学範囲を全部やり直す必要はありません。どこで止まっているかを特定します。
手順1:中学範囲の計算を確認する
次の問題を解いてもらってください。制限時間を設けず、正確に解けるかを見ます。
展開:(x+3)(x-5) のような基本的な展開が、詰まらずにできるか。
因数分解:x²+5x+6 のような基本的な因数分解が、すぐに浮かぶか。
平方根:√12 を 2√3 に直せるか。分母の有理化ができるか。
二次方程式:解の公式を使わずに、因数分解で解けるか。
ここで詰まる項目があれば、そこが戻る地点です。
手順2:関数の理解を確認する
「y=2x+3のグラフを描いて」と言われて描けるか。
「このグラフの式を求めて」と言われて式を作れるか。
「変化の割合とは何か」を、公式ではなく言葉で説明できるか。
ここが曖昧なら、高校の二次関数は理解できません。
手順3:高校の該当単元に戻る
中学範囲に問題がなければ、高校のどの単元から分からなくなったかを特定します。
教科書を最初から見返し、「ここまでは分かる」という地点を探してください。
そこから先が、埋めるべき範囲です。
戻ることは遠回りではありません
高校生が中学の内容に戻ることに、抵抗を感じる生徒さんがいます。
しかし、これは遠回りではありません。
因数分解が確実になれば、高校の式変形が楽になります。関数の基礎が固まれば、二次関数の理解速度が変わります。
土台が固まると、その上の単元を理解する速度が上がります。結果的に、飛ばして進むより速く追いつけます。
そして、戻る範囲は思ったより狭いことが多くあります。中学3年分をやり直す必要はなく、特定の単元だけで済むケースがほとんどです。
高校数学の進め方
土台を確認したら、高校の内容に取り組みます。
教科書レベルを確実にする
いきなり参考書や問題集に手を出さないでください。
まず教科書の例題を、自力で解ける状態にします。定義と定理を、言葉で説明できるかも確認してください。
「対数とは何か」「三角比は何を表しているか」。ここが曖昧なまま問題演習に入ると、公式の丸暗記になります。
学校の傍用問題集を軸にする
定期テストは、学校の教材から出題されます。
傍用問題集から類似問題が出ることが多いため、ここを確実にすることが最優先です。
1周目で全問解き、間違えた問題に印をつける。2周目以降は印のついた問題だけを解き直す。全問を3回解くのではなく、できない問題を3回解きます。
解説を読んで終わりにしない
理解したことと、解けることは別です。
解説を読んだ後、必ず何も見ずに解き直してください。ここで初めて、再現できるかが分かります。
多くの生徒さんが、この段階で解けません。そして、解けない理由が言語化できるようになります。
計算練習を並行する
方針が立っても、計算で時間を取られると解き切れません。
高校数学は計算量が多く、処理速度が得点に直結します。1日10分でも、計算練習を継続してください。
評定への影響を考える
高校数学のつまずきは、評定にも影響します。
評定平均は高1からの全科目の平均です。数学で低い評定がつくと、平均が下がります。
学校推薦型選抜や指定校推薦を使う可能性を残すなら、高得点を目指さなくても、評定3を確保することを目標にしてください。
提出物を出す、授業に取り組む、テストで基本問題を落とさない。この3つで3は取れます。
現場で見えたこと
ここからは、マスネットで実際に見えたことを書きます。
高校数学の相談を受けたとき、まず中学範囲の確認から入ります。
すると、想像より手前でつまずいているケースがほとんどです。
高校1年生が中学2年生の一次関数で止まっていた。数学ⅠAが分からない原因が、中学3年生の因数分解にあった。こうした例は珍しくありません。
高校の教科書を何度読んでも解決しないのは、原因がそこにないからです。
そして、手前から始めた生徒さんほど、その後の伸びは速い傾向があります。土台が固まると理解の速度が変わるためです。
もう一つ、戻る範囲の狭さについてです。
「中学3年分をやり直すのか」と身構える生徒さんがいますが、実際に必要なのは特定の単元だけであることがほとんどです。
因数分解だけ、関数だけ、平方根だけ。範囲を絞って埋めれば、数週間で高校の内容に戻れます。
そして、解説を読んで終わりにしている状態も多く見ます。
参考書を進めているし、時間もかけている。しかしテストでは解けない。理解したことと解けることの間にある差が埋まっていません。
解説を読んだ後、何も見ずに解き直す。この一手間を入れるだけで、同じ勉強時間でも結果が変わります。
よくある質問
Q. 高校数学が分からなくなりました。何から始めますか。
中学範囲の確認からです。展開、因数分解、平方根、関数。ここで詰まる項目があれば、そこが戻る地点です。
Q. 中学の内容に戻るのは遅れではないですか。
遅れではなく最短ルートです。土台が固まると、高校の内容を理解する速度が上がります。飛ばして進むより速く追いつけます。
Q. 中学3年分をやり直す必要がありますか。
ほとんどの場合、必要ありません。実際に必要なのは特定の単元だけであることが多く、範囲を絞れば数週間で戻れます。
Q. 参考書を進めているのに点が取れません。
解説を読んで終わりにしている可能性があります。読んだ後、何も見ずに解き直してください。理解したことと解けることは別です。
Q. 授業についていけません。
高校は進度が速く、家で一から理解し直す時間がありません。授業中に分からない部分へ印をつけ、その日か翌日に解決する習慣をつけてください。
Q. 数学の評定が低いのですが、影響はありますか。
評定平均は高1からの全科目の平均です。推薦を使う可能性を残すなら、高得点でなくても評定3を確保することを目標にしてください。
戻る地点の特定から相談したい方へ
どこまで戻るかの判断は、一人では難しい部分です。特に高校数学の場合、中学のどの単元が原因かを見極める必要があります。
マスネットの高校生コースでは、現在地の診断、戻る範囲の設定、そこからの積み直しまで一緒に進めています。
評定を確保しながら、大学受験の選択肢を残す形を設計します。