高1で勉強についていけないとき|つまずきの正体と、戻る地点の見つけ方
公開日 更新日 執筆:塾長 馬籠先生
高校に入った途端、授業が分からなくなった。中学までは困っていなかったのに、テストの点数も一気に下がった。
結論から言うと、高1でついていけなくなる原因は、高校の内容が難しいからだけではありません。進度が中学の倍近くになること、そして中学範囲の小さな穴が表面化すること。この2つが重なっています。
オンライン学習塾マスネットでは、高校生の立て直しも担当しています。この記事では、原因の特定と対処を書きます。
高1でつまずくのは珍しくありません
まず知っておいてほしいのは、この時期のつまずきが非常に多いということです。
中学でトップ層だった生徒さんが、高校で下位になることは普通に起こります。理由は明確です。
高校では、同じくらいの学力の生徒さんが集まっています。中学では相対的に上位でも、高校では平均になります。これは学力が落ちたわけではありません。
そのうえで、中学とは学習の仕組みが大きく変わります。この変化への適応でつまずくケースがほとんどです。
そして、この時期のつまずきは対処すれば取り戻せます。高2・高3になるほど範囲が広がり、埋める作業が大変になります。早く手を打つほど負担は小さくなります。
中学との4つの違い
違い1:進度が速い
高校の授業は、中学の約2倍の速さで進みます。
中学では、同じ単元を何度も練習する時間がありました。高校では、その日習った内容を家で復習しないと次に進んでしまいます。
授業内で理解しきれない部分が出るのが前提の進度です。それを家で埋める習慣がないと、少しずつ差が開きます。
違い2:科目が細分化される
中学は5教科でした。
高校では、数学I、数学A、化学基礎、物理基礎、コミュニケーション英語、論理・表現、現代の国語、言語文化といった形で分かれます。
それぞれに課題が出て、それぞれにテストがあります。管理する量が一気に増えます。
違い3:抽象度が上がる
高校の内容は、具体から抽象への移行が進みます。
数学なら、文字式の扱いが複雑になり、証明や論理の比重が上がります。理科なら、目に見えない現象を式で扱います。
理解しないまま手順だけ覚えると、応用で必ず崩れます。中学までは暗記で乗り切れた部分が、高校では通用しません。
違い4:自分で進める前提になる
中学では、先生が細かく管理してくれる場面がありました。
高校では、課題の管理も学習計画も、自分で進めることが前提になります。
この切り替えができないと、気づいたときには大きく遅れています。
つまずきの正体を特定する
「ついていけない」と一言で言っても、原因は科目によって違います。
数学の場合
高1数学でつまずく生徒さんの多くは、中学範囲に原因があります。
因数分解、平方根、一次関数、二次関数の基礎。これらが曖昧なまま高校に上がると、数学Iの段階で行き詰まります。
確認方法は、中学範囲の計算問題を解かせることです。展開と因数分解、平方根の計算、連立方程式。ここで手が止まるなら、原因はそこにあります。
高校の教科書を何度読んでも解決しないのは、原因がそこにないからです。
英語の場合
中学英文法の抜けが、そのまま影響します。
時制、関係代名詞、分詞、受動態。中学で曖昧だった部分が、高校の長文で一気に表面化します。
また、単語量の増加も大きな要因です。高校では覚える語数が一気に増え、単語学習を止めた瞬間に読めなくなります。
確認方法は、教科書の本文を音読させ、訳せるか確認することです。単語で止まるのか、文の構造で止まるのかが分かります。
国語の場合
現代文は、読解の量が増えます。中学より抽象的な文章が扱われます。
古典は、ほぼ新しい科目です。古文の文法と単語、漢文の句法。中学の貯金が使えません。
古典は暗記系として扱えば対応できます。苦手意識を持つ前に、暗記の方法を確立してください。
理科の場合
物理と化学は、計算の比重が高くなります。
中学の理科は暗記で乗り切れる部分がありましたが、高校では数学的な処理が必要になります。
数学が苦手だと、理科も連動して苦しくなります。
具体的な対処
数学:中学範囲に戻る
原因が中学範囲にあるなら、そこまで戻ります。
高校生が中学の内容に戻ることは、遠回りではなく最短ルートです。
因数分解が確実になれば、高校の式の変形が楽になります。二次関数の基礎が固まれば、数学Iの理解速度が上がります。
戻る範囲の特定は、簡単な問題から順に解いて「解ける」と「解けない」の境目を探す形で行います。
英語:単語と文法を並行する
単語を止めないでください。高校英語は語数が多く、止めると読めなくなります。1日15分でも毎日続けます。
文法は、中学範囲で曖昧な部分を先に埋めます。時制と関係代名詞は特に影響が大きい部分です。
全科目:授業内での理解率を上げる
高校は進度が速く、家で一から理解し直す時間がありません。
授業中に理解しきる。分からない部分にその場で印をつける。この習慣があるかどうかで、テスト前の負担がまったく変わります。
授業を聞くだけで終えると、テスト前に全範囲を独学することになります。
全科目:課題の管理方法を作る
科目数が増えたぶん、管理が必要です。
何がいつまでか、を1か所に書き出してください。紙でもスマホのメモでも構いません。頭の外に出すことが目的です。
評定を落とさないために
高1のつまずきは、大学受験の選択肢にも影響します。
評定平均は高1からの全科目の平均です。高1で低い評定がつくと、高2・高3で挽回しても平均は上がりにくくなります。
学校推薦型選抜や指定校推薦を使う可能性を残すなら、高1の段階で評定を確保しておく必要があります。
推薦を使うかは後で決められますが、評定は後から取り返せません。
現場で見えたこと
ここからは、マスネットで実際に見えたことを書きます。
高校生の相談で最も多いのが、「中学までは点が取れていたのに」という言葉です。
そして数学の場合、中学範囲を確認すると、想像より手前でつまずいているケースがほとんどです。
高1の生徒さんが、中2の一次関数で止まっていた。数学Iが分からない原因が、中3の因数分解にあった。こうした例は珍しくありません。
高校の教科書を何度読んでも解決しないのは、原因がそこにないからです。
そして、手前から始めた生徒さんほど、その後の伸びは速い傾向があります。土台が固まると理解の速度が変わるためです。
もう一つ、授業内での理解についてです。
高校は進度が速いため、授業で分からなかった部分をその日のうちに処理できるかどうかが大きく影響します。
印をつけておく。その日か翌日に解決する。この習慣がある生徒さんは、テスト前の負担が明確に小さくなります。
逆に、分からない部分を放置すると、テスト前に全範囲を独学することになります。これは高校の範囲では現実的ではありません。
そして、評定の重みについてです。
高1の時点で、その成績が大学受験の選択肢を左右することを知らないまま過ごしている生徒さんがいます。高3になって推薦を検討したとき、評定平均が基準に届かないと分かる。
この場面を何度も見てきました。高1から知っていれば、取れた選択肢でした。
よくある質問
Q. 高1でついていけなくなるのは珍しいことですか。
珍しくありません。進度が中学の約2倍になり、科目数も増え、抽象度も上がります。環境の変化への適応の問題であることが多くあります。
Q. 中学の内容に戻るべきですか。
数学と英語でつまずいている場合は戻るべきです。高校の内容を繰り返しても、土台が弱ければ理解できません。戻る方が結果的に速く追いつけます。
Q. どこでつまずいているか分かりません。
中学範囲の問題を解かせて、解けると解けないの境目を探してください。数学なら展開と因数分解、平方根。英語なら教科書本文の音読と和訳で確認できます。
Q. 科目が多すぎて管理できません。
何がいつまでかを1か所に書き出してください。頭の中だけで管理するのは、大人でも難しい作業です。
Q. 高1の成績は大学受験に影響しますか。
影響します。評定平均は高1からの全科目の平均です。推薦を使う可能性を残すなら、高1の段階で評定を確保しておく必要があります。
Q. 部活が忙しくて時間が取れません。
時間を増やすより、授業内の理解率を上げてください。高校は進度が速いため、家で一から理解し直す方が時間がかかります。
つまずきの特定から相談したい方へ
どこで止まっているかを正確に特定することは、家庭だけでは難しい部分です。特に高校生の場合、中学範囲のどこまで戻るかの判断が必要になります。
マスネットの高校生コースでは、現在地の診断、戻る範囲の設定、科目の優先順位づけまで一緒に進めています。
評定を確保しながら、大学受験の選択肢を残す形を設計します。