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福岡県公立高校入試の仕組み|A群・B群方式と内申点の使われ方を整理する

公開日 更新日 執筆:塾長 馬籠先生

福岡県の入試は、内申点と当日点を単純に足し算するわけではないと聞いた。でも、実際にどう合否が決まるのかがよく分からない。

結論から言うと、福岡県の公立高校一般入試は「学力検査の順位」と「調査書の順位」を別々に出し、その両方が合格圏に入っている人をA群として先に合格者を決める仕組みです。合計点で一列に並べる方式ではありません。

オンライン学習塾マスネットは福岡県内の中学生の皆さんにも受験指導を行っています。この記事では、A群・B群方式の実際と、そこから逆算した対策を書きます。


福岡県入試の基本構造

まず、使われる2つの数字を確認します。

学力検査は300点満点です。国語・数学・社会・理科・英語の5教科を、各60点で実施します。

調査書(内申点)は45点満点です。中学3年生の9教科の5段階評定を合計したものです。中学1年・2年の評定は点数化されません。

ここが福岡県の大きな特徴です。多くの都道府県が中1や中2から算入するのに対し、福岡県は中3の成績のみを使います。実技4教科への倍率もかからないため、9教科すべてが同じ重みを持ちます。


A群・B群方式とは何か

福岡県の選抜方法で最も分かりにくいのが、この仕組みです。順を追って説明します。

手順1:2つの順位をそれぞれ出す

受験者を、学力検査の得点で順位づけします。それとは別に、調査書の評定で順位づけします。

この時点で、1人の受験生は2つの順位を持つことになります。

手順2:両方が合格圏に入る人をA群とする

学力検査の順位と調査書の順位が、どちらも一定の範囲内(合格圏)に入っている受験生がA群になります。A群は、調査書の記載内容に特段の問題がなければ、そのまま入学予定者となります。

A群として決まる人数は、募集定員の約6割が目安とされています。ただしこの割合は高校によって異なります。

手順3:残りをB群として総合的に選考する

A群に入らなかった受験生と、A群でも入学予定者にならなかった受験生がB群です。

B群は、調査書の「各教科の学習の記録」のうち評定の数値以外の記載事項も重視しながら、調査書の順位と学力検査の順位を考慮して総合的に選考されます。


この方式が意味すること

合計点方式と比べたときの、実質的な違いを整理します。

片方が突出していても、もう片方が低いとA群に入れません。 学力検査で高得点を取っても、内申点の順位が合格圏を外れていればA群になりません。逆もまた同様です。両方をバランスよく合格圏に入れることが、最も確実な合格ルートです。

内申点が届かない場合、B群での勝負になります。 B群は総合選考のため、学力検査の得点で挽回する余地はあります。ただしA群で先に定員の多くが埋まるため、残る枠を争うことになります。

評定の数値以外の記載も見られます。 B群の選考では、調査書の記載事項が重視されます。出欠の状況や特別活動の記録などが該当します。

つまり福岡県の入試は、内申と当日点のどちらかで突出するより、両方を合格圏に乗せる方が有利な設計になっています。


傾斜配点のある学科

一部の学科では、特定教科の得点が1.5倍されます。

普通科英語コース・国際文化コース・英語科は、英語の学力検査の得点が1.5倍になります。

普通科理数コース・理数科は、数学と理科の学力検査の得点が1.5倍になります。

これらの学科を志望する場合、該当教科の対策の優先度が大きく変わります。志望校の学科に傾斜配点があるかどうかは、必ず確認してください。


一般入試以外の選抜

福岡県には、一般入試以外の入り口もあります。

推薦入学は、中学校長の推薦を受けた生徒が対象です。学科試験ではなく、面接や作文、実技などが課されます。推薦を受けるには内申点と日頃の学校生活が評価される必要があります。

特色化選抜は、学校の特色にふさわしい生徒の入学を促進するための選抜です。面接に加えて、作文や実技試験を実施する学校もあります。

令和7年度入学者選抜からは、特色化選抜と推薦入学が同一日に実施されています。また特色化選抜は、募集定員に占める割合の上限を県教委が定めておらず、各校長の判断に委ねられています。学校によっては合格者が定員の半数以上を占めるケースもあります。

特色化選抜で内定にならなかった場合でも、一般入試に出願できます。 挑戦する価値のある制度です。

なお、第2志望校制度も設けられています。志望校の選び方に関わる制度なので、募集要項で確認しておくことをおすすめします。


福岡県入試から逆算した対策

制度を踏まえると、対策の優先順位が見えてきます。

1. 中3の内申を最優先で確保する

福岡県は中3の評定だけが点数化されます。これは、中1・中2の成績が振るわなくても挽回できることを意味します。中3の1年間で45点満点を取りに行く設計が成立します。

同時に、中3で評定を落とすと取り返す機会がありません。中3の定期テストと提出物は、そのまま受験対策です。

2. 9教科すべてを均等に扱う

実技4教科への倍率がないため、9教科は同じ重みです。ただし裏を返せば、実技教科の評定1つも主要教科と同じ価値を持ちます。実技を軽視すると、その分だけ内申点が下がります。

3. 学力検査は5教科をバランスよく

300点満点を5教科で分け合う構造なので、極端に低い教科があると順位に響きます。苦手教科を平均まで引き上げることが、順位を上げる最短ルートです。

4. 傾斜配点の確認を早めに

志望校の学科に傾斜配点があるなら、対策の配分を変える必要があります。英語科志望なら英語、理数科志望なら数学と理科に時間を寄せます。


福岡の受験指導の現場で見えたこと

ここからは、マスネットで実際に見えたことを書きます。

福岡県の入試制度を保護者に説明していて、最も反応が変わるのが「中3の成績だけが使われる」という点です。中1・中2で成績が振るわず、すでに諦めかけていた家庭が、この一点を知って方針を切り替えるケースを何度も見ています。

実際、中2まで評定が低かった生徒が、中3の1年間で内申を大きく引き上げた例があります。やったことは特別ではありません。定期テストの対策を2週間前から始めること。提出物を期限より早く、空欄なく、直しを入れて出すこと。この2つです。

マスネットでは宿題システム上で提出状況を管理していますが、内申が動いた生徒に共通しているのは、締切当日にまとめて提出する習慣がなくなったことでした。まとめて出すと空欄と写しが増え、「取り組んだ跡」が残りません。実技4教科でも同じことが起きています。

そしてもう一つ、福岡の生徒を見ていて強く感じるのが、実技4教科の対策をしている生徒がほとんどいないことです。福岡県は実技への倍率こそありませんが、9教科が同じ重みである以上、実技の評定1つは数学の評定1つと同価値です。テスト1週間前に配布プリントを覚えるだけで動く余地が、多くの生徒に残っています。

A群・B群方式について補足すると、指導していて感じるのは「内申が足りないから無理」と早く判断しすぎる家庭が多いことです。B群は総合選考であり、学力検査で挽回する道は残されています。内申が届かないなら、当日点で順位を押し上げる設計に切り替えればいい。諦める前に、志望校の合格ラインと現在地の差を点数で確認することをおすすめします。

なお、マスネットは2027年に鹿児島での校舎開校も予定しています。九州の入試現場に精通し続けることが、地域の受験生に届く指導につながると考えています。


よくある質問

Q. 福岡県の内申点は何年生から使われますか?
中学3年生の評定のみが点数化されます。9教科の5段階評定を合計した45点満点です。中1・中2の成績は点数化されません。

Q. 学力検査は何点満点ですか?
300点満点です。国語・数学・社会・理科・英語の5教科を各60点で実施します。

Q. A群とB群の違いは何ですか?
学力検査の順位と調査書の順位の両方が合格圏に入っている受験生がA群で、記載内容に問題がなければ先に入学予定者となります。それ以外がB群で、調査書の記載事項も含めて総合的に選考されます。

Q. 内申点が低いと合格できませんか?
A群に入るのは難しくなりますが、B群での選考が残っています。学力検査で順位を押し上げることで合格の可能性はあります。まず志望校の合格ラインと現在地の差を確認してください。

Q. 実技4教科は重要ですか?
重要です。福岡県は9教科がすべて同じ重みのため、実技の評定1つは主要教科の評定1つと同じ価値を持ちます。

Q. 傾斜配点がある学科はどこですか?
英語コース・国際文化コース・英語科は英語が1.5倍、理数コース・理数科は数学と理科が1.5倍になります。志望学科の扱いは募集要項で確認してください。

Q. 特色化選抜で不合格だった場合はどうなりますか?
特色化選抜で内定にならなかった場合でも、一般入試に出願できます。


福岡県の入試から逆算した対策を相談したい方へ

制度を知ることと、そこから自分の対策を組み立てることは別の作業です。マスネットの中学生コースでは、志望校の合格ラインと現在地の差を点数で把握し、内申と学力検査の両面から設計しています。

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※本記事は福岡県公立高等学校入学者選抜の一般的な仕組みを解説したものです。選抜方法・日程・傾斜配点・特色化選抜の実施状況は年度および高校により異なります。最新かつ正確な情報は、福岡県教育委員会の公表資料および志望校の募集要項で必ずご確認ください。

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